迷子の旅  in  NARUTO(28)





動きやすい服に身を包み、小さなかばん1つを手に持ったは護衛となる2人の上忍と顔をあわせていた。

「はじめまして。『いれぶん』のオーナー、です」

「護衛を務める猿飛アスマです」

「はたけカカシです」

髭をはやしタバコを吹かしているアスマと左目を額宛てで隠した銀髪のカカシに、は『商人らしく』頭を下げながら挨拶を交わす。

「それじゃあ、時間も惜しいですし出発しましょう」

「はい。よろしくお願い致します」

3人は里を出るために里の出入り口となっている門へと歩き出した。

まだ早い時間のせいか人通りはそれほど多くはない。

しかし、しばらくすると門のあたりに集まっている気配に上忍たちは訝しげに視線を合わせた。

もちろんもその気配に気づいているし、それが誰かも特定できるが、気配にも上忍たちの様子にも気づいていないかのように普通に歩いている。

さらに門に近づき、人影が見えるようになったところではやっとそれに気づいたかのように訝しげな表情を浮かべた。

「朝早くから門のところにあんなに人がいるなんて珍しいですね」

「そうですね。何かあったかな?(どう思う?)」

「さあな。仕入れの商人かなんかじゃねえか(木の葉の中で騒動はおこさねえだろ)」

「おや?もしかしてうちの従業員たちでしょうか?」

「「従業員?」」

「はい。着ている服がうちの店の服によく似ているんですけど」

がそう言うと、門のところに集まっていた人々も3人に気づき声を上げた。

「「「「「「「「オーナー!!!」」」」」」」」

「皆さんどうなさったんですか?」

「見送りにきました!」

「オーナー...ヒザシオーナーが出発する時間を教えてくださったんです!」

「非番の人しかこれませんでしたけど、これ道中に食べてください!!」

「俺たち全員で作ったんです!オーナーの作ったのよりは劣るかもしれないですけど...」

「ありがとうございます。今日のお昼にいただきますね」

「「「「「「「「はい!!!」」」」」」」」

にこにこと笑いながら受け取ったに、顔を真っ赤にしながら大きな声で返事をする従業員たちを見て、上忍たちは噂以上の心酔ぶりに呆気に取られていた。

しばらくを見つめていた従業員たちは、今度は呆然と立ち尽くしている上忍たちに詰め寄った。

「お2人とも!オーナーをよろしくお願いします!!!」

「オーナーはうちの店の看板なんです!!」

「オーナーの手で作るお菓子はまさしく現世の芸術なんです!」

「もし、オーナーの手にかすり傷でもついたら...」

「「「「「不吉なことを口にするな!!!」」」」」

「すまん...だが、ここ1週間それを考えると眠れなくて」

「きっと大丈夫さ!なんたって上忍が2人もついてるんだ!」

「そうよ!ヒザシオーナーもそう言ってたじゃない!!」

「ああ!そうだな!お二方、どうかオーナのことをよろしくお願いします!」

「「「「「「「「よろしくお願いします!!」」」」」」」

「あ...ああ...ワカッタ」

「あー...うん。マカセテクダサイ」

土下座するのではないかというほど頭を下げてお願いする従業員の勢いに押され、2人はぎこちない言葉で返事をした。

木の葉の里を出る前に『いれぶん』の『オーナー』のカリスマぶりを見せ付けられた2人の顔は引きつっている。

何よりすごいのはこの従業員たちの様子を『皆さん心配性ですねぇ』と笑って見ているかもしれない。











ありがとうございました!

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