迷子の旅 in NARUTO(25)
渡されたレシピを片手に、『いれぶん』の菓子職人たちがの手元に注目する。
今月の新作が滑らかな動きで次第に形作られていく様子は、まさに魔法である。
「このケーキの飾りには...」
作業に集中するの動きにあわせながら、ヒザシが材料や手順の説明をしていく。
この日に限り、従業員達が全員出勤になり、代わりに翌日休みになるのである。
もっとも、従業員達は前日教えられたお菓子を自主的にここに来て作っているため、休みといえるかどうかは微妙なところなのだが。
「...以上が今月の新作です。何か質問や意見はありますか?」
「あの、このオペラ(チョコレートケーキ)の飾りなのですが、ナッツではなくドライフルーツのほうが彩りがいいと思うのですが...」
「そうですね。今はどんなものを常備していますか?」
「アプリコット、レーズン、イチジク...」
「では、ナッツからアプリコットを飴にくぐらせたものに変更しましょう。そのほうが光沢が出ます」
「では他には」
そして作った後は、それぞれの菓子に大なり小なり変更の意見が出る。
お菓子作りに関しては、ヒザシもかなりの知識を詰め込まれたので、職人たちやの言葉にもすんなり返すことが出来る。
オーナーだからと言って職場の人間に意見を捨てずに、聞き入れるところも2人が尊敬されているところである。
そんなやり取りをかわしている横では、フロアースタッフが出来上がったお菓子を次々に運び出していく。
すべてのお菓子が運び出されてからもしばらく意見が続き、終わったのは1時間ほど後のことだった。
従業員に頭を下げられて見送られる中、は待ちくたびれたであろう子供たちに言葉をかける。
「お待たせしました。帰りましょう」
「「「分かった」」」
だいぶ家に近づき、人通りも少なくなると、ヒザシも子供たちも口調が元に戻る。
「様、今日の夕食はどういたしますか?」
「そうですね。できればこの子達の食べたいものを作りたいんですけど」
「、俺ラーメンがいい」
「鯖の味噌煮」
「デザートはぜんざいがいいな」
「野菜もとりましょうね」
「「「はーい」」」
「ヒザシはおそばがいいですか?」
「...はい」
「それじゃあ、今日は色々作りましょうか」
にっこりと笑ったに、ヒザシも笑みを返し、子供たちも面の下で微笑んだ。
ありがとうございました!
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