迷子の旅 in NARUTO(22)
「ごほっ...あなた達が抜けると、その分私たちの任務が多くなるんですね」
「まったくだ。しかもAランク、Sランクばかりじゃねぇか」
「と一緒にいなくちゃ、あの絶品の団子とかお汁粉とか食べられないじゃない!!」
「「...アンコ(さん)」」
「何よ」
呆れたように呟く特別上忍の2人を、アンコがぎろりと睨み付ける。
それに微動だにしないのが子供たちだ。
「そんなのの店に行けば同じのが食えるじゃねーか!」
「そうよ!の作るお菓子が目当てだったら、お店に行けばいいでしょう!」
「俺たちみたいに一緒にいたいからっていう理由のほうが、も嬉しいよな?」
「え?そりゃあ、一緒にいて欲しいと言われるのは嬉しいですけど」
「「シカマル!ナイス!!」」
それはもう満面の笑みでグッと親指を立てる2人に、シカマルもにやりと笑い返す。
それにすかさずアンコが噛み付く。
「あんたら分かってないわね!!お汁粉や団子はね!出来立てが1番なのよ!さらにが作ったのが最高なのよ!!!」
「ばーかっ!!が作ったのが最高だなんて分かりきったこと言ってんじゃねーよ」
「そんなの、毎日ご飯作ってもらってる私たちが、1番知ってるに決まってるじゃない!」
「そんなのも分かんねーなんて、面倒臭せーやつ」
子供たちが馬鹿にして鼻で笑うと、アンコのこめかみに太い青筋が浮かぶ。
アンコがさらに言い募ろうとするのを、がやんわりと遮る。
「ああ、そういえば。アンコちゃん、明日の新作試食会は来ますか?」
「行くわ」
最上級のやわらかい笑顔を向けられて、アンコが反射的に答える。
そして場の空気が緩んだところで、は火影に顔を向けた。
「火影さん、予定としては来月の中ごろ10日間くらいなんですけど、依頼するときはCランクで良いんですか?」
「そうじゃのう。特にを狙っているとの情報は入っていないが、念のためにBランクのほうがいいかも知れんのぅ」
「そうですか。私1人だけですから、上忍1人に中忍1人の2人ですかねぇ」
「うむ。もしくは...」
「「「ねぇ!!」」」
「ん?」
「どうかしましたか?」
「「「俺(私)たちが一緒じゃだめなの!?」」」
すがりつくように聞いてくる子供たちに、きょとんとした顔を向ける。
「ここにいる暗部の皆さんは、全員仕事が入っているでしょう?」
「「「...じいちゃん(火影様)」」」
「これでも散々削ったんじゃ。これ以上削るのは無理じゃ」
真剣な顔で威厳を持たせていう火影に、子供たちはかなりショックを受けた。
そして半泣きでを見上げたが、も首を縦には振らない。
「私と一緒とは言え、さすがに10日間ずっと任務なのは体に差し支えます。お土産を買ってきますから。ね?」
その一言で、周りが呆気に取られるくらい子供たちは本気で大泣きした。
やがてにあやされながら、泣き疲れて眠ると、は3人を布団に寝かせた。
そして、困惑した顔の大人達に苦笑すると、諭すように言った。
「子供たちが我慢してお留守番するんですから、あなたたちもちゃんとお留守番しててくださいね」
大人たちはまだ、やや呆然としながらも首を縦に振った。
ありがとうございました!
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