迷子の旅 in NARUTO(21)
多少のごたごたのすえ、新しい家にはとヒザシ、そして子供たちが住むことになった。
ネジも影分身がある程度できるようになると、週に1度泊まりに来るようになり、火影やヒアシも月に1度くらい訪れて話をしていく。
アンコ、イビキ、ハヤテも任務がないときに遊びに来たりもする。
そして、ちょうど風の国にも店を出すという話をしたときが、偶然にも、ネジが泊まりに来る日で、特別上忍の3人が休みで、まだいなかったが、火影とヒアシも来る日だったので...こういう状況になったのである。
子供たちと大人たちが喧嘩をし始めてから30分ほど経ったころ、残りの2人が来てすっかり荒れ果ててしまった庭を呆然と見ていたところで、がやっと声をかけた。
「ナル君、シー君、ヒナちゃん、アンコちゃん、イビキ君、ハヤテ君、そろそろお茶にしませんかぁ?」
その一声で喧嘩がぴたっと止まるのだから、さすがである。
その声を聞いた子供たちがいそいそとの両脇と膝の上を占領すると、どこからともなくため息が漏れる。
ヒアシはいつの間にか用意していた湯飲みにお茶を注ぎ、ネジがそれを配っていく。
饅頭をお茶請けにお茶をすするほのぼのとした光景に、誰もが喧嘩の原因など忘れかけたとき、来たばかりで話の中身を知らなかったヒアシが尋ねた。
「殿、喧嘩の原因は何だったのですか?」
「ん?ああ...風の国に出店場所を探しに行ってこようかなぁと言ったら、ああなったんですよ。ところで、ヒアシ。敬語と『殿』を付けるのやめませんか?」
「いいえ。恩のある方への言葉遣いとしては、これでも砕けたほうです。本当は『様』と付けるべきなのでしょうが」
「それはお断りします。ヒザシもせめて『殿』に変えませんか?」
「いえ、私のほうが多くの恩を受けておりますから」
「......(似たもの兄弟ですね)他の人たちの前ではやめてくださいね。不審がられますから」
「「分かっております」」
声をそろえて言う兄弟に、小さく苦笑すると、の袖がぐいと引かれた。
「何ですか?」
「「「(風の国に)一緒に行ってもいいよね?」」」
「ちょっと!!あんたら、泣き落とししようなんて、ずるいわよっ!!!」
すかさず入ったアンコの声に子供たちが小さく舌打ちする。
それを聞いたヒナタの親族が遠い眼をする。
内心は、したたかな子になってしまってか、女の子なのにか、微妙なところである。
どちらにしろ、両方とも物悲しさが漂っていることは間違いない。
それに関しては子供のほうが順応が早い。
ネジはとっくに1つ年下の子供たちの性格を把握して、馴染んでいる。
よって、ヒザシは息子の不思議そうな視線に微妙に引きつった笑みを返すしかない。
ありがとうございました!
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