迷子の旅 in NARUTO(16)
よく晴れた日の午後、里の外れにある、ある一軒家では縁側から庭先で戯れる子供たち...
キィィイン!!
ボン!
ガッッ!!!
...だけでなく、ちょっと育ちすぎた大人たちも眺めながら、のんびりとお茶をすすっていた。
そこにいつの間にか大量の饅頭ののった皿を持った男が、呆れるようにしてを見下ろしていた。
「様、お止めなさらないのですか?」
「ふふっ、大丈夫ですよ。皆さん、元気な証拠です。ところで、そろそろ呼び捨てにしてくださいませんか?」
「何度言われましても、恩のある方を呼び捨てには出来ません」
「頑固ですねぇ」
「性分ですので」
ため息と共に呟かれた言葉に、男は苦笑と共に返すと、皿を置き、の隣に腰を下ろし庭へと目を移した。
「今度は何が原因ですか?」
「ほら、今度風の国にもお店を出すことにしたじゃないですか。それでちょっと場所探しも兼ねてうろうろしてこようかなあと言ったら...」
「誰がついて良くかで喧嘩になったのですね」
「そうなんですよ。みんな、仕事があるでしょうに」
「父上!」
そこに、喧嘩に参加するほどの実力がまだなかったために、離れたところで不貞腐れながら傍観していた少年から、男に声がかかった。
「どうした、ネジ」
「ええと...」
「ヒザシに気づいて声をかけたかったんですよね」
「はい!」
呼んだはいいが反射的に呼んだだけらしく、なんと言って良いか困っていたネジに、が言葉をかけると、ネジは嬉しそうに返事をした。
「そうか」
そう言ってヒザシがネジの頭を撫でると、照れくさそうに頬を染めながら笑った。
はその様子をほほえましく眺めている。
しかし、この様子を事情が知らない者が見ていたら、首を傾げていただろう。
の傍らにいる親子は、似通ったところといえば、せいぜい髪の色だけだったのだから。
ネジが長い黒髪と、一目で日向一族と分かる瞳をしているのに対し、今のヒザシに以前の姿をまったく残していない。
長かった髪は短く刈り込まれ、以前よりも顎のラインが細くなり、やや目じりが下がった眼を細め、縁無しの眼鏡をかけている。
そして、特筆すべきは額の呪印が消えていることと、その瞳の色が薄い灰色であることだろう。
今、の隣で子供と話しているのは、日向ヒザシではなく、の従兄弟のヒザシなのである。
ありがとうございました!
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