迷子の旅 in NARUTO(15)
「これを見ていただければ、どうするかはお分かりだと思いますが...」
じっと箱の中を見ているヒアシとヒザシに、は淡々と話しかける。
「これを渡せば雲の国も納得せざるを得ないでしょう。しかし、ただ渡すだけではヒナちゃんが貴方達の...宗家と分家という関係に悲しんだままになってしまいます」
の言葉に2人はハッと顔を見合わせ、ヒナタとに顔を向ける。
ヒナタは2人の視線をまっすぐに受け止め、はその様子にふっと笑みを浮かべる。
「日向ヒザシさん、真に勝手ながら貴方にはまったく別の人になっていただきます。日向の呪印と共に日向の姓を捨て、顔を変え、戸籍も変えて、日向と関係の無いヒザシさんになっていただきます」
「...しかし、ヒザシにはネジが...」
「その点は問題ない。特例としてヒザシからネジにこのことを話すことを許可しよう。最も共に暮らすことは出来なくなるが...」
「ただ、ネジ兄さんが変化の術と影分身を覚えてきちんと使えるようになったら一緒に暮らしても良いって...」
火影の言葉に補足するように言ったヒナタの言葉に、ヒザシは驚きと喜びで呆然とヒナタの顔を見る。
「しかし変化の術ならばともかく、影分身は幼い子供には...」
「うん、普通は無理だけど...私達と一緒に修行すればすぐに出来るようになると思うの」
「「ヒナタ(様)...」」
ヒナタのまっすぐに見上げてくる視線と一生懸命な声に、2人は名前を呼んで見つめ返すしかなかった。
その様子を見ていた暗部たちも、無意識に面の下で笑みを浮かべる。
そしてこれが最後になりますがと前置きをして、が話を続ける。
「日向ヒザシさん、貴方には1ヶ月木の葉に用意した家で生活してもらった後、暗部に所属していただきます」
「!!?私が...ですか?」
「ええ、火影さんにも了承をいただいてます」
「...1ヵ月後からというのは?」
「薬を使って保存したとしても、死体を保存できるのはせいぜい1ヶ月でしょう。それに白眼を調べるために切り刻むなら、薬品の使用を抑えるでしょうからもって2週間でしょうね...それで、このお話に乗っていただけますか?」
「...ええ、そのお話受けさせていただきます」
その言葉を聴いてヒアシはヒザシが生きていてくれることへ、ヒナタたちは話を受け入れてもらえたことに安堵した。
「それでは、ヒザシさんはこの暗部の服に着替えて息子さんのところへ行って話してきてください。ヒアシさんは少しそこに立っていていただけますか?それを雲の国が要求してきた本物の『日向ヒアシ』に近づけるために、スキャン...細かい情報を取りますから」
「ヒザシと共に豹鬼、月兎、貂森が付いていってくれ」
「「「御意」」」
ヒザシと共に3人の暗部が出て行くと、部屋の中には2人の暗部とヒナタ、ヒアシ、、火影、そして部屋の隅の転がされている補佐役が残された。
ヒザシたちを見送っている間にヒアシのスキャンを終えたは、箱に収まっていた死体を取り出して手を加えていく。
その様子を見ていた5人は形が変わっていくのは分かっても、実際にどんなことをしているのかまでは分からなかった。
その作業もわずか5分足らずで終了すると、再び箱に仕舞い蓋を閉じる。
「後はこれを雲の国に送れば大丈夫でしょう」
「そうか...礼を言う」
「お礼はヒナちゃんに言って下さい」
「...?」
「ヒナちゃんが関わってなければ...雲の国の目的を聞いてヒナちゃんが悲しそうにしていなかったら、私は一切関わっていませんでしたから」
ふんわりと笑うを驚いたように見た後、ヒアシはに深々と頭を下げ、ヒナタに向かって微かな笑みを浮かべながらありがとうと呟いた。
ありがとうございました!
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