迷子の旅 in NARUTO(14)
暗部によって起き上がらせられたヒアシは、先ほどのの言葉にわずかに考え込む。
「ヒナ?...ヒナタか!?」
「うむ、この者はお前の娘をそう呼んでおる...そしてお前の娘は暗部に属しておる」
「「なっ!!」」
火影の言葉に驚きの声を上げる2人の前で白狸が変化を解き、驚くヒアシの顔を見るとそっと目を伏せる。
「ヒナタ...」
「ヒナタ様・・・」
呆然とヒナタを見る2人の視線を遮るように、はヒナタを抱き上げた。
2人の視線がヒナタを追いかけに辿り着くと、はまっすぐ視線を合わせた。
しばらくそのまま目を合わせていたが、2人の表情から驚愕が消え、次第にを観察するような視線になってくる。
2人がだいぶ落ち着いたと感じたは、ヒナタを抱いたままヒアシへと歩み寄り目の前で立ち止まった。
その間ヒナタは父親の反応を恐れるようにギュッとにしがみついていた。
目の前にきたの腕の中にいるヒナタの反応に気づいたヒアシは、わずかに迷っていたがそっとヒナタの頭を撫でた。
自分を撫でてくる手にヒナタは一瞬ビクッとしたが、変わらず撫でてくる父親の手に恐る恐る顔を上げ、その目に嫌悪や拒否といった感情が浮かんでいないことを確認するとほっと息をついた。
はそんなヒナタとヒアシの様子に笑みを浮かべると、ヒナタを降ろしヒザシに向き直る。
その横で様子を見ていたヒザシは、自分に向き直ったに視線を合わせる。
はヒザシの目をまっすぐ見上げると、穏やかな表情で話しかけた。
「日向ヒザシさん、真に勝手ながら貴方にはまったく別の人になっていただきます」
「!!?...何...?」
の言葉に驚き困惑をあらわにするヒザシの後ろで、ヒアシも同じような表情でを見つめる。
そして唐突過ぎるの言葉に、火影はため息とともに話しかけた。
「、ちゃんと説明せい...2人が混乱しておる」
「そうですね...ではヒアシさん、ヒザシさん、これから説明しますが、質問は説明がすべて終わってからお願いします」
「「あ、あぁ...」」
「ヒナちゃんの誘拐計画はことが起こる2日前に発覚していました。しかし相手は雲の国ということで対応としては、事前に対策をとる場合、そのことを日向宗家に知らせてヒナちゃんを隠す程度のことしか出来ません。
そしてその案をとると、今後もヒナちゃんが狙われる可能性があるということでもあります。そこでヒナちゃんが今後狙われることなく、雲の国を納得させられる方法は『雲の国に目的を遂げさせること』です。
その為には事前に対策を取るのではなく、事後に雲の国が有利であると思わせて裏をかく必要があったんです。
雲の国の目的は白眼の秘密を解き明かすこと、最初からその為に狙われていたのはヒナちゃんではなくヒアシさんです。能力が開花していない生きた子供よりも、開花している死んだ大人をと言うことですね。
そして今、雲の国から『ヒアシさんの遺体を渡す』という条件を出されています。この条件が提示された場合、日向一族ならおそらくヒザシさんを身代わりにするだろうという意見が出ました...ヒアシさんが反対するというのは予想外でしたが...
しかし、木の葉の里から誰も死なずにこれを切り抜ける方法...つまりヒザシさんも死なずにすむ方法があります。その為には...ああ、届きましたね」
長々と話していたが入り口を振り返ったことで、内心驚愕しながら話を聞いていた2人も入り口を見遣る。
そして入り口が開かれ大きな箱を抱えた暗部−イビキ−が部屋の中に入って来て、の前に箱を置き蓋を開けた。
箱の中に膝を抱えて入っているものを見た瞬間、ヒアシとヒザシは目を見開いた。
「「!!?」」
「これがヒザシさんの代わりの死体です...最も材料は人ではありませんが」
箱の中にはヒザシにそっくりの死体が膝を抱えるようにしてうずくまっていた。
ありがとうございました!
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