迷子の旅  in  NARUTO(13)






話し合いが行われた翌日の明け方近く、日向ヒナタが誘拐された。

しかしその誘拐はすぐに駆けつけた日向ヒアシによって阻止されたが、ヒアシによって殺された忍びが同盟を結んだばかりの雲の国の忍びであったため、問題が大きくなった。

雲の国は自国の忍びが殺されたことで、木の葉の条約違反として理不尽な条件を突きつけてきた。

もちろん木の葉がそれをのむわけにも往かず、関係がこじれ戦争になりかけたとき雲の国が裏取引を持ちかけてきた。

ここまでは完全に雲の国の思惑通りだった。



雲の国が裏取引の条件として『白眼の血継限界を持つ日向宗家 日向ヒアシの死体を渡せ』と突きつけてくると、火影は6人の忍びと日向ヒザシ、日向一族の補佐役を連れ宗家へと出向いて行った。

火影が雲の国が突きつけてきた条件を話すと、ヒアシはゆっくりと頷いた。

「仕方ありません...私一人の命で里を救えるなら」

「むう...」

「ヒアシよ...そう早まるでない...日向の血継限界はこの里にとって重要な切り札じゃ。永劫それを守り続けるのが宗家のお役目じゃろう」

「...しかし、その役目の前に里を絶望的な戦争に巻き込んでしまっては...」

「分かっておる...だからその為に分家がおるではないか。ヒザシの死体をお前の影武者として引き渡すしかない」

「!!!?」

「ヒザシも了解済みの話じゃ」

補佐役の言葉にヒザシは無表情にヒアシを見ていたが、ヒアシは動揺を隠し切れずに補佐役に話しかけた。

「しかし奴らが欲しているのはこの白眼の能力の秘密...ヒザシでは死体になった時点でその能力を封印してしまう。それで雲の国が納得するとは...」

「フン、それが本音ではあろうが雲が出してきた条件は『日向ヒアシの死体を渡せ』というものじゃ。要求を飲んだ振りをしてお前と瓜二つのヒザシを渡せば、奴らもそれ以上おいそれとは追求出来ぬ」

「.........しかし...」

「ヒアシ、来る時が来たのだ。どの先代もそうして日向の血を守ってきた。たとえ兄弟でも血のためなら切り捨てる心を持つことじゃ!それが宗家の宿命なのじゃ。そして、これが日向に生まれた者の運命じゃ」

「くっ...」

「「.........」」

補佐役の言葉にヒアシと火影は顔を歪め、ヒザシはヒアシの顔をじっと見るとフッと口元を緩めた。

「...いつも強気なヒアシ様は何処へ行ったのです?」

「!、これは今までと事の大きさが違う!そう簡単には...『ドスッ』ッ!!」

「「!!!」」

話している途中ヒアシはヒザシに鳩尾を突かれ、床に倒れた。

「くっ...ヒザシ、お前...」

「私に行かせて下さい」

「お...お前には...ネジだっている...なぜ宗家のために...死を選ぶ」

「それは違います」

「.........」

「私は宗家を恨んできました。正直今でも憎い...だからこそ貴方を宗家としてではなく、私の兄として守って死にたいのです。そうすることが、私にとって初めての選ぶことの出来る自由なのです」

ヒザシの言葉にヒアシも火影も、ついて来た忍び達も無言で聞き入る。

「ネジには私の醜い姿ばかりを見せてきました...なのに今さらここに来てやっと自分の意志を知りました。だからネジにはこう伝えて下さい。私は宗家を守るために殺されるのではなく...ネジや兄弟、家族、そして...里を守るために自らの意志で死を選んだのだと!」

「...自ら死を選ぶことが...自由だというのか...」

「兄さん、私は1度で良い、日向の運命に逆らってみたかった。自分で運命を選んでみたくなった...ただそれだけだよ」

「では、これから思う存分逆らって下さい」

どさっ...

「「!!?」」

火影の後ろに控えていた忍びの一人がそう言うと、補佐役の体が床に倒れた。

それを合図にしたかのように忍び達の変化が解かれ、5人の暗部の姿が現れる。

そして声をかけた忍びは変化の術とは異なり、徐々に姿を変えていった。

「はじめまして、ヒナちゃんのお父様と叔父様...私は、ヒナちゃんの新しい友人です」











ありがとうございました!

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