迷子の旅 in NARUTO(10)
火影と子供達がポカンと口を開けてを見ていた頃、雲の国の忍を幽閉した2人の暗部は、自分たちと同様に仮面をとったイビキに疑問の視線を投げかけていた。
それに気付いたイビキは、深くため息をつくと待機所にあるソファーにどっかりと腰を下ろした。
暗部二人もイビキにならうようにそれぞれソファーに腰を落ち着ける。
「それで?」
「...何がだ?」
「ゴホッ、分かっててはぐらかすのは意味がありませんね」
「ハヤテの言うとおりよ!さっきの女暗部のことさっさと白状しちゃいなさい!!」
詰め寄って来るアンコとハヤテに、イビキは先程より深くため息をつく。
「...そう言われてもな...俺だって大して知ってるわけじゃない。精々、黄狐、鹿角、白狸が懐いてるってことぐらいだ」
「「ナルト(君)達が!!」」
「ああ...それと、お前らもう少し声を抑えろ」
驚いて大きな声でナルトの名前を呼んだアンコとハヤテに、イビキは顔をしかめる。
「あ、ゴメンゴメン。で?他には?」
「...彼女は人の心が読めるんですか?」
「...さっきの尋問方法は別に心を読んだわけじゃねぇ。本人が言うには、目の色を読むらしい」
「色?」
「ああ、正確には瞳の色だな。嘘をついているときや、真実を隠そうとするとき、瞳の色が暗くよどむんだそうだ」
「ゴホッ...しかし、それだけで...」
「さらに細かく言うと、瞳孔のわずかな変化、微妙な心拍数や体温、発汗の変化も読んでいるらしいがな」
「!?もしかしてあごを掴んでたのって...」
「おそらく心拍数なんかを調べるためだろう」
「なるほど...顔を上げさせるだけの行為かと思っていましたが、そういう意図があったんですね」
イビキの言葉に頷いているハヤテの横で、アンコもその方法を聞き納得しながらもさらに疑問が出てくる。
「ねぇ、そんな微妙な変化を感じ取れるってことはさ...変化を感じ取れるほど尋問をしたことがあるってこと?」
「さあな、本人や火影様達が言うには忍じゃ無いらしいが...」
「ゴホッ、忍じゃ無いんですか?」
「それにしてはあの部屋に入っても平然としてたわね」
「...信用できるんですか?」
険しい顔で言う2人に、イビキは火影と共に部屋に入った瞬間を思い出して苦笑する。
「あのときのアレは演技だ。実際に本人に会ったら180度どころか590度ぐらい違うぞ」
「そっちの方が演技かもしれないじゃない」
「そうですね」
「...まあ、あのときの様子しか知らねーんじゃ無理もないだろうが...」
「何よそれ?」
「ゴホッ...イビキさんはあの時以外の様子を見ているようですが、それが演技で無いという根拠があるんですか?」
「根拠というか...あの黄狐、鹿角、白狸があいつの腹や足を枕にして寝そべってたり、あいつにしがみついてるのを実際に見たからな」
「「........................は?」」
2人はイビキの言った言葉を理解するまで数秒要し、さらにその様子が思い浮かばずに口からマヌケな声が出た。
「さらに誰があいつに付いて一緒に行くかで、目の前であの3人のジャンケンしだして、勝った鹿角が嬉しそうに笑うは、残りの2人が頬を膨らますは...」
「ちょっと...それってマジな話?」
「俄かには信じられませんが...」
「俺だって自分の目を疑ったさ(さらに驚いたのはあいつの年齢や体の変化だがな...)」
「うわぁ...でも実際に見てみたいわね」
「ゴホッ、そうですね」
暗部の待機所でひと段落ついた頃、火影の執務室ではの考えた内容にさらに口を大きく開けマヌケな様子をさらしている火影と子供達が居た。
ありがとうございました!
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