迷子の旅 in ハリーポッター(4)
『オリバンダーの店』を出たときには、杖を選んでいたも、待っていたマクゴナガルも疲れた顔をしていた。
3時間も杖を振り続け、物が壊れたり激しい火花が散ったりがくり返されたが、結局に合う杖が無く新しく作ることになったためだった。
幸いにもに合う素材を1から探すのではなく、が神字を刻み込んで念をかけた石を使って作ることになったため、それほど時間はかからないらしい。
既に1時を回っていることに気づいたマクゴナガルが、が教科書を買っている間にマクゴナガルが鍋や薬草を買いにいくことを提案すると、も疲れた顔で同意した。
マクゴナガルはを本屋の前まで送ると、2時半にここに来ることを伝え残りのものを買いに行った。
が本屋の中に入ると、そこにはさまざまな種類の本が天井までうず高く積まれていた。
その様子に小さく感嘆の声を漏らすと、店内をぐるりと見渡した。
新学期まではまだ1ヶ月以上もあるためか、店内にはそれほど人がいなかったので店員が手伝ってくれて、すぐに買い物は済んでしまった。
マクゴナガルとの待ち合わせに1時間近くあることを確認すると、は面白そうな本を探して本屋の中を歩き出した。
しばらく歩き回っていると、『魔法薬学調合法 やってはいけない調合!Best 124』という本が目に入った。
はその本に興味を引かれたために手を伸ばしたが、かなり上の方につんであるせいで後10cmほど届かなかった。
届かないところにまで本を積んでいるこの本屋に対して少し疑問を持ちながらも、は本をとるために舞空術を使って本を抜き出した。
が目当ての本をとることが出来て、嬉しそうに笑いながら本を開こうとしたとき、ふっと手元が暗くなった。
不思議に思ってが上を見上げると、驚いた顔をしながら2階からを見下ろしている少年と目が合った。
は少年の驚いた顔を見て飛んだところを見られたことに気付くと、どうしたものかと困った顔になった。
が困ったように少年を見上げていると、少年はハッと気付いてを睨みつけると急いで階段を降りての所にやってきた。
の目の前に来た少年は先ほどのようにを睨みつけ、はそれに困ったような顔を向けていた。
しばらくするとを睨んでいた少年が、不機嫌そうな声でに話しかけてきた。
「お前は、誰だ?」
「・と言います。今年1年ホグワーツで学ぶことになった留学生です」
「...留学生?」
「はい。あなたのお名前をお聞きしても良いですか?」
「...セブルス・スネイプ」
「では改めまして。はじめまして、Mr.スネイプ」
「.........(この性格はハッフルパフか?)」
「?、どうかしましたか?」
「...さっきのはお前の国の魔法か?」
「んー、厳密には少し違うんですが、そのようなものですね」
「そうか」
「はい」
ゆったりとしたのペースに巻き込まれ、スネイプも緊張感が薄れて、周りに気を配れる程度の余裕が出てきた。
そしての抱えている本の題名に気付いたスネイプが、興味深げにその本を覗き込んだ。
「?、Mr.スネイプ?どうかしましたか?」
「...Mrは必要ない。それに、グリフィンドールで無ければファーストネームでかまわん。お前何年だ?」
「今年5年に編入することになっていますが?」
「同い年なら、わざわざそんなに丁寧に話す必要は無い」
「ありがとうございます。でも、この話し方がクセになっているので...それに組み分けがまだなので、呼び方もどちらが良いのか分かりませんし」
そう言って困ったように笑うに、スネイプもそれならばしょうがないと先ほどと同じような口調で言った。
「しかし随分とめずらしいものを見つけたな」
「この本ですか?何となく題名が気になって取り出したんですけど、そんなにめずらしい本なんですか?」
「ああ、実際にここに載っている調合を試したやつがかなりいて、もう出版はされていないと聞いたな」
「...124通り全部を試したんでしょうか?」
「さあな。少なくともホグワーツでは禁書扱いになってるだろうな」
「じゃあ、買います」
「...お前、人の話を聞いていたか?」
「聞いてましたよ。ホグワーツでは禁書扱いだから、今買ってしまえば自分用の禁書が手に入るってことでしょう?」
「間違ってはいないが...」
嬉しそうに会計に向かうの背中を見て、スネイプは何とも言えない顔をした。
ありがとうございました!
3話
戻る
5話