迷子の旅 in ハリーポッター(21)
「...おや?」
マリアたちは隠し通路に消えたを心配しながらも、友人や教授たちに促されて夕食の席についていた。
進まない食事ため息をついた時、ざわついている大広間の中で聞こえた妙に通る声に、4人以外にも友人と呼べる者たちは全員天井を見上げた。
どこから聞こえたのか分からなかった生徒たちも、つられて上を向き、落ちてくる生徒らしい人影に盛大に悲鳴をあげた。
教授たちが慌てて杖を取り出し呪文を唱えようとしたが、誰もが間に合わないと思い、ある者はきつく眼を閉じ、ある者は悲鳴を上げ、そしてある者は顔を青くした。
そしてまさに床に叩きつけられようとしたそのとき、生徒の落下速度が急激に遅くなり、生徒は自分の足で床を踏みしめた。
誰もが唖然とする中、注目を集めている生徒はポツリと呟いた。
「出口がランダムとは書いてありましたけれど、まさか天井から落ちることになるとは思いませんでしたねぇ」
「「「「「「ッ!!?」」」」」」
「はい。ただいま帰りました。あ、お食事中にお騒がせしてすみません」
前半は自分の名前を呼んだ友人たちへ、後半は杖を握り締めている教授たちへ向けた言葉だ。
その言葉を受けた友人たちはマイペースなにぽかんと口を開けて固まり、最も早く我に返ったウィニアがぼろぼろと涙を零しながら詰め寄った。
「ただいまじゃないわよ!いきなりあたしたちの目の前で消えたと思ったら、上から落ちてきてっ!、が...死んじゃうんじゃ、ないかって、心配したんだからぁあッ!!」
「そうだよ!すっごく心配したんだからねっ!!」
「!大丈夫なの!!?ケガはっ!?」
「もう!が3人を泣きやませなさいよ!!心配させた罰なんだからね!」
「ったく、こっちの心臓が止まるかと思ったぜ」
「今回ばかりはお前の自業自得だ」
ウィニアとヨハンは大声で泣きをなじる。
リリーはぽろぽろと涙を流しながら心配し、目尻に涙を浮かべたマリアが頬をふくらませる。
まだ心臓がうるさいを顔をしかめるジェイクと、深い深いため息をつくセブルス。
少し離れたところではが落ちてくる途中に気を失ったピーターにジェームズたち声をかけている。
そんな友人たちの様子を見て、は首を傾げた。
「心配って、何にですか?」
がポロリと疑問をこぼすと、誰もが言葉を失い固まった。
その様子に更にが首を傾げ教授たちへと目を移したが、教授たちも同様に固まっている。
「、皆君がいなくなったときにケガをしていないか不安に思い心配しておった。先ほども無事に済んだが、あのまま床に叩きつけられていれば大けがをしていじゃろう。そのことを心配し、無事だったことに安心しているんじゃよ」
「え?罠があるけど死ぬことのない通路を歩いたり、地上15m(4階くらい)からのコードレスバンジーって普通にやることでしょう?」
ダンブルドアの言葉に対するの答えに辺りが静寂に包まれる。
「もしかしてしないんですか?」
「「「「「「もしかしなくてもしない(わ)(よ)(って)(するわけないだろう)!!」」」」」」
「そうなんですか?」
大合唱の否定の言葉に、が首を傾げた。
「の常識の確認をしたほうがいいかのぉ」
全員が再び固まる中に放たれたダンブルドアの言葉に内心で誰もが頷いた。
ありがとうございました!
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