迷子の旅 in  ハリーポッター(20)





「はじめまして、見知らぬ方々と未来の私。と申します。未来の私と混同しないようどうぞと呼んでください」

『ああ、それなら大丈夫ですよ。書物に自分の名前がかってに載るのは嫌ですし、国が違うのでイレブンと呼んでもらっていますから』

現在の自己紹介に未来の―以降イレブンと呼ぶ―以外は何とも言えない顔をした。

戸惑う理由に思い立っては笑みを浮かべながら言った。

「たとえ同じ存在なのだとしても、私はあなた方を知らないです。できれば別の人物として扱っていただけた方が、私としてはありがたく思います」

『だが、俺たちが誰か予想く出来ているのだろう?』

「ええ。ですがそれは、あなた方も私も知らない誰かの主観と資料によって書かれた知識で導き出したものです。目の前にいる本人と1000年後の書物。どちらが確かかは言うまでもないではありませんか」

『確かにな』

鴉の羽根よりも黒い黒髪の男性がの答えに目を細めて頷いた。

『私はサラザール・スリザリン。イレブンはサラと呼ぶ。同じように呼んででくれ』

「分かりました」

『はい!はい!次はあたし!あたしはヘルガよ。ヘルガ・ハッフルパフ!よろしくねイレブン、じゃなかった!』

「はい。よろしくお願いします」

黒髪の男性の次に満面の笑みで自己紹介をする緩やかに波打った栗色の髪の女性に微笑みながら答えた。

そして、長い銀髪の女性と燃えるような赤い髪の男性が進み出る。

『はじめまして。私はロウェナ・レイブンクローよ。私の作った寮の居心地はどうかしら?』

「日々快適かつ愉快に過ごしていますよ」

『ロウェナのトコに愉快なものなんてあったか?あ、俺はゴドリック・グリフィンドールな。こいつは長いっつってグリフって呼ぶが』

「確かに長いですね。あと愉快な部分の6割は同じ寮の生徒、1割は他の寮の生徒で、さらに1割は面白い構造の学校自体に、そして残り2割は子供の悪戯レベルから進歩中のあなたの寮の4人組がいったところでしょうか」

『ロウェナとグリフの寮生ですからねぇ』

『『どういう意味(だよ)(かしら)』』

「なるほど。おおよその性格は推測できました」

イレブンの言葉に、ロウェナとグリフが顔を歪めたが、が頷く。

それを見たヘルガは高い声で笑い、サラは笑いをこらえて肩を震わせる。

笑われた2人は憮然としたが、その様子がさらに笑いを誘った。

ヘルガたちの笑いが収まったころ、はほぼ確信を持って言葉を発した。

「それで、ゴーストモドキなあなた方と未来の私の記憶は私に何が用があるのですか?」

『おや?彼らは記憶ではないと?』

「記憶をベースにしているようですが、わずかですが魂も含まれていると思います。違いましたか?」

『いや、正解だ』

『すご〜い!よく分かったわねぇ』

2人の言葉に笑みだけで応えた。

『まぁ、これは俺たちだけが知ってる禁書にも載ってない方法だからな』

『知りたいなら後でサラザールの部屋にある本を見せてもらうと良いわ。方法が書いてあるのはあの本だけだから』

「そうですね後で見せてもらいます。それで先にすることは何ですか?」

ロウェナの言葉から意図を正確に見抜いたにイレブン以外が肩をすくめた。

『先にこれをあなたに渡そうと思ってたんですよ』

「何の記録ですか?」

『心配しなくても、未来の記憶は入っていませんよ。入っているのは日本の魔法、まぁ本来は魔法ではないのですが、陰陽術に関してです』

「ああ、あれですか」

『知っているのか?』

「陰陽論というものとそれに関係した術があることは」

さらに言ったあと、は手の中にあるメモリーカードから情報を読み取った。

作業は5分ほどで終了したが、その間5人によってテーブルやイス、お茶とお菓子まで用意されている。

テーブルやイスはともかくお茶はお菓子はいつのものだろうという考えが浮かんだが、保存魔法が掛けられているなら1000年前でも10分前でも大して変わらないしと、乞われるままに椅子に座った。










ありがとうございました!

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