迷子の旅 in ハリーポッター(16)
「ダメじゃないですか。こんな人通りの多いところで」
そう言って呆れたようにクソ爆弾が投げられてきた方を見るに、周りにいた生徒たちはぽかんと口を開けている。
の左手には4個のクソ爆弾が上へと一直線に並び立ち、まるで中心に棒でも通しているかのように微動だにしない。
「ケガはしないでしょうから一応条件には合ってますが、もう少し周りも気にするべきだと思いますよ」
「「周りを気にしたら、それをに投げていいの!?」」
「もちろんです。そう言う条件だったでしょう?」
周りの生徒たちも思っていたことをレイブンクローの双子が代弁した。
だが、にとっては今更な質問、というよりも当然のことだったので、周りが驚いた理由を分かっていない。
「...ケガはしなくても当たったら痛いんじゃねェか?」
「ジェイク、そういうことでもないんじゃない?」
「いや、だって、他に何つったらいいか分かんねーし」
「そうなんだけどさー」
ジェイクの言葉に、ウィニアも何とも言えない顔をする。
「まぁ、がクソ爆弾投げられても何ともないっていうのは分かったんだけど」
「心情的に納得いかないし」
「いつも大丈夫ってわけじゃないでしょう?」
「いえ、大丈夫ですが」
あっさりと否定したに、周りにいた生徒が皆口を閉ざす。
「構造的には何かと接触した衝撃で中身が飛び散るようになっているようですし、当たる前に衝撃を吸収しながら受け止めればいいだけですし」
「でも後ろから投げつけられたら...」
「何か問題がありますか?」
その答えに全員が唖然とした顔をする。
「何かって、後ろから投げられた物は見えないだろ」
「別に見えなくても問題はないと思いますが」
さっぱり意味が分からないと首を傾げるに、双子は心配そうに言う。
「問題ならあるわ。見えないと当たっちゃうでしょ」
「そうだよ。ケガがなくてもが汚されたらっ!?」
「やめてよヨハン!!そんなこと想像させないでっ!!」
悲鳴に近いマリアの声に、以外が微妙な顔をする。
「どうやら話に行き違いがあるようなんですが...私、奇襲には慣れてるのでこんなオモチャの被害を受けたりしませんけど」
「「「「「「......え?(は?)」」」」」」
の台詞に普段聞かないような言葉が入っていたような気がして、ジェイクは恐る恐る訊ねた。
「今...なんつった?」
「こんなオモチャの被害を受けたりしませんけど」
「その前」
「奇襲には慣れてるので」
「......あー、聞き間違いじゃなかったのか」
がっくりと肩を落としたジェイクには不思議そうな顔を向けた。
「私、何か変なこと言いました?」
「言った」
「奇襲って、いったい何なの?」
「奇襲とは、相手の思いもよらない方法で不意をついて攻撃することです」
「「「「意味を聞いた訳じゃない(のよ)(わ)(よ)(ぞ)」」」」
綺麗にそろった4人の声に首を傾げながら言う。
「それなら奇襲の内容ですか?」
「どっちかと言うと、何で奇襲なんかに慣れてるのか聞きたいんだけど」
「(最初は)私の師匠の修行メニューのひとつだったからです(実戦でさらに回数を重ねて神経を研ぎ澄ませる方法も習得しましたし)」
「...マジで?」
「はい。ですので...」
クソ爆弾の投げられてきた方にあった柱に目を向けながら言った。
「どちらかというと罠のような形にしたほうがいいと思います。あとこれ、お返ししますね」
「「うわっ」」
「ぎゃっ」
「...いったいどうやったの?」
ジェームズたちはひゅんと音を立てて飛んできたクソ爆弾に悲鳴を上げ、リーマスは呆然とした顔でに訊ねた。
「おや、自分から手の内を晒す訳ないでしょう?」
にっこりと笑ったが何時から某奇術師の念を伸ばしていたのかは本人にしか分からない。
ありがとうございました!
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