D.Gray−man (6)
「2人とも、この人(?)が新しく仲間になった君だよ!」
「はじめまして、と申します」
『さっき言ったけど、もう1回自己紹介するよ。の式神のチモでーす』
「はじめまして。兄さんから聞いているかもしれないけど、私はリナリーよ。これからよろしくね」
「ええ、よろしくお願いします。そちらの方は?」
報告も終わり、の学習もひと段落ついたので、自己紹介となった。
リナリーの隣に座っている神田が言葉を発しなかったため、が少し首を傾げながら尋ねる。
さすがに舌打ちはしなかったが、不機嫌そうな顔で言った。
「...神田だ」
「字は神様の田んぼと書く、神田さんですか?」
「ああ...お前、日本人か?」
「いいえ。私の育ての母が、日本人だったので」
「そうか...「あれ?君って人間の親がいたの!?」
驚いて、思わず会話に割り込んだコムイに、神田とリナリーは訝しげな顔を向ける。
「兄さん、それってどういうこと?」
「ん?まだ話してなかった?君が、ロボットだって」
「え!?」
「ロボットだと?」
リナリーは驚いた顔で、神田は警戒を露わにして、を見た。
「あ、君はアクマとは全然違うからね」
「なぜ、そう言いきれる」
「体のどこにもペンタクルがなかったからね」
「体の表面にあるペンタクルは、隠されてるだろうが」
「うん。だからね」
を警戒したまま、睨みつけるように見てくる神田に苦笑しながら、コムイは言った。
「君に皮膚を剥がしてもらって、中身を見せてもらたったんだ♪」
「ええ、べりっと剥がしました」
『もうやっちゃダメだからね!がケガするの、嫌い!』
「すみませんね。(たぶんここでは)もうやりませんから、許してください」
『何を含んでるのか、分かるけど...許してあげる』
「ありがとうございます」
内容に反して、ほのぼのとした様子に、聞いていた2人は何とも言えない顔をした。
「と、いうわけなんですが、神田さんも、リナリーさんも、それで納得していただけましたか?」
「ええ。 でも、いくら自分でしたと言っても、大丈夫だったの?聞いてるだけで、とっても痛そうなんだけれど」
「大丈夫ですよ。我慢できない痛みでは、ありませんでしたから。傷痕も残さず治りましたし」
「それなら、良いのだけれど」
そう言って頷いたリナリーに笑みを返すと、視線を横にずらして神田を見た。
視線を向けられた神田は、さらに不機嫌そうな顔になった。
「俺はお前らを信用してねえ」
「神田!?」
「まあ、普通はそうでしょうね」
『確かにねー』
「君!?チモちゃん!?」
神田の言葉を聞いて、納得したように頷く2人(?)に、リナリーは驚きの声を上げ、コムイは面白そうに笑いながら聞いている。
『なんで、リナリーはそんなにビックリしてるの?』
「なんでって...確かに、神田はそういうふうに言ったのは、初めてじゃないけど...初対面で、そこまで言ったのは初めてだし。そうなると、ケンカになってたのよ」
「それで、私たちが、神田さんの言葉に納得したのに驚いた、というわけでいいですか?」
「え、ええ」
リナリーが頷くと、は穏やかな笑みを向ける。
非常に訝しげにしている神田にも、同じように微笑むと、理由を説明するために、口を開いた。
「私たちが神田さんの言葉に納得したのは、立場が逆だったら、間違いなく同じ反応をしていただろうと、思ったからです」
『そのいちー!いくら皮膚の下を見たからって、体の奥を見たわけじゃないでしょ?だから、絶対にアクマじゃないとは言えないことー』
「その2。ペンタクルをもたないアクマが、新しく開発された可能性もあります」
『そのさーん!アクマじゃないとしても、天然伯爵だっけ?それに繋がりがあるかもしれなーい』
「本には天然ではなく、千年と書いてありましたよ。その4。はっきりそう告げることによって、味方の注意を促します」
『そのごー!そう言った時の、相手の反応を確かめて、判断材料にするー』
「と、まあ、大まかな理由はこのくらいですね」
『ですねー』
顔を見合わせて頷いたあと、はもう一度神田に顔を向けた。
「気が向いて、多少信用しなくもないと思ったときに、ファーストネームを教えて頂けたら嬉しいです。あ、私のファミリーネームはです」
『チモはねー、千と百って漢字で書いて、千百って読むんだよー』
裏表のない笑顔で言う2人に、多少気が抜けたのか、神田のつり上がった目が、ほんの少し緩んだ気がした。
ありがとうございました!
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