D.Gray−man (3)




「何でわざわざ飛びながら移動してるんだ?」

「書類を踏みながら歩く趣味がないからです」

ラビの疑問に、は足の踏み場がないほど床に散乱している書類を見ながら答えた。

教団本部の中に無事に入り、案内された指令室は天井まで続く本棚に囲まれ、机の上だけではなく床にまで大量の書類が散乱していた。

「俺らもそんな趣味ねーけど」

「踏みたくないなら自力で飛ぶか、箒で飛ぶかしては如何ですか?」

「自力じゃ飛べないって。しかも何で箒?」

「『魔法使い』の乗り物は箒と相場が決まってるからです」

「俺『魔法使い』じゃないし」

「え?あれだけ(アクマを倒した時や崖を登った時のこと)非常識を大量生産しておいて、『一般人』名乗る気ですか?」

「『一般人』じゃなくて『エクソシスト』!もしくは『未来のブックマン』でいーじゃん。それにだって似たような...」



  ガンッ



「うるさいぞ小僧ども!」

「っいってー!!」

「(地味に痛いですね)......もう小僧と呼ばれるような年はとっくに過ぎたんですが」

殴られた頭を手で押さえながら叫ぶラビと、殴られた部分をさすりながら話すの反応は正反対だ。

それを周りで見ていた科学班の面々は呆気にとられている。

「えーと、もういいかな?」

「2人ともさっさとそこに座われ」

「ん?これから尋問ですか?」

「いや、そこまで言うほどのことじゃないよ。まあ、ちょっとした質問はするけどね」

人懐こい笑顔でそういうのは、眼鏡をかけ後ろ髪をカールさせているアジア系の男性だ。

が促されて椅子に座ると、その両脇をブックマンとラビが陣取る。

「はじめまして。科学班室長のコムイ・リーです!」

「はじめまして。ここに来る前のやり取りでご存じかとは思いますが、ロボット...といっても分からないかもしれませんね。機械でできてる人形のです」

「大丈夫!ちゃんとロボットで分かるから」

「それはありがたいですね。いちいち説明するのに『機械でできた人形』じゃあ面倒ですから」

どちらもにこやかな笑顔であいさつを交わす。

「で、さっそくだけど、門番に花を咲かせてたのはイノセンスのせいと考えていいのかな?」

「いいえ。魔法ですよ」

「「「「「...は?」」」」」

「...じゃあ、空を飛ぶのは?」

「(たぶん)武術の一種(に分類されるはず)です」

「「「「「何の(どこの)!?」」」」」

「......じゃあ、君の動力源ってなんなのかな?」

「(初対面でいきなり体の中身について聞いてくる子も珍しいですね)主に光エネルギーですね」

「「「「「...一番まともな答えだ」」」」」

「生憎、事実しか言ってませんよ」

「君たちちょっと黙ってようね」

声をそろえてツッコミ(?)を入れる科学班の面々に、コムイから注意が飛んだ。

「イノセンスが体に入ったと報告を受けていたんだけど...先にあげた2つはイノセンスによるものではないのかな?」

「それ以前に身につけた技術ですから違うと断言できますよ。もっとも体の中に入り込んだせいで、魔法にしろ私自身にしろ、何らかの影響が加わっている可能性がないとは言い切れませんが」

「ってことは、ってマジで魔法使い?」

「一応魔法学校は卒業してますよ」

「魔法学校なんてあるのかい?」

「わしも初耳だ」

「俺もー」

「まあ、この世界の学校ではありませんからね」

「どういうことだい?」

コムイがいぶかしげな顔で聞いてくる。

「異世界、並行世界、もしくはパラレルワールド、どれか聞いたことはありませんか?」

「つまり、は異世界に行って魔法使いになったってことか?」

「正確には、ある世界で作られて、異世界で魔法使いになったんですけどね。他にもいろんな世界で迷子になりましたし、私からすればこの世界も異世界ですしね」

「迷子になったついでに魔法使いになったってことか?」

「ついでにするには随分と珍しい職業だがな」

「まあ、間違ってはいませんけど、そうやって改めて聞くとちょっと来るものがありますね。でも、魔法使いというのは職業ではありませんから、職業をあげるとしたら...」

「あげるとしたら?」

ちょっと考えた後、自分がついた職業を羅列していく。

「...情報屋、ハンター、医者、(非国家)錬金術師、司書、何でも相談係、三蔵一こ...これは職業じゃありませんでした。(一応)武道家、学生は卒業したからなしで、魔法学校教師、菓子店オーナー、忍者、似非お、いや、これも省いてもいいですね(似非王族はさすがにダメですよね)。まあ、他にもいろいろしてますけど、まだ聞きますか?」

「いや、もういいよ」

「俺としては途中で切れた『三蔵一こ』と『似非お』が気になるんだけど」

「僕も気になるけど。それは大元帥の方々に会ってからにしようか」

「大元帥?」

「黒の教団で一番偉いの人たちさ」

「おや、良いんですか?」

非常に意外だという表情を向けるに、コムイはウィンク付きで答える。

「ラビ君とブックマンにも来てもらうけどね」











ありがとうございました!

2話 戻る   4話