D.Gray−man (1)




はあの朽ちた教会で出会った2人と共にそそり立つ崖を見上げていた。

と共にいるのは炎を思わせる赤い髪を持ち右目を眼帯で覆った少年と、薄い頭髪を頭頂で1つにまとめ底光りする鋭い眼を化粧で縁取った老人である。

少年の名をラビ、老人の名をブックマンという。

老人は少年の師であり、少年はブックマンの継承者であるとに語った。

ブックマンとは歴史の傍観者であり、記録者。

世界の裏の歴史を書きとめ、後世へとつないでいく者であるらしい。

なぜ初対面にもかかわらずそういう話になったかというと、あの妙な丸い物体(AKUMA(アクマ)という兵器らしい)が10体ほど押し寄せてきたため、3人がかりで倒すことになったからである。

少年と老人はAKUMAと戦っている黒の教団というところに所属しているらしく、悪魔祓い師(エクソシスト)か確認してきた。

もちろん、そんなものがいるとはまったく知らなかったは分からないと返したため、説明をという話になったわけだ。

話によると、神の結晶(イノセンス)と呼ばれる物質に適合した者がAKUMAを破壊するエクソシストになることができるらしい。

2人はここにイノセンスを探しにきたらしいのだが、それはどうもが興味を示したあのランプだったようだ。

老人が言うには、おそらくが適合者になったのではないかということで、黒の教団の本部へと足を運んだのである。

そして、その本部があるのがこの崖の頂上なのだと言われ、上を見上げていたわけだ。

本来なら水路を使えるのだが、初めて入る者は門番にチェックを受けることになっているため、水路は使えないそうだ。

「...自力で登ったほうがいいですか?というか、あなた方だけ別に水路を行っても良かったのでは」

「連絡は入れてあるが、我々がお前の保証人のようなものだ。少なくとも門番のところまで連れて行かねばならん」

「お手数をおかけします」

は苦笑しながら、老人に頭を下げた。

「気にすることないさ。それが任務だからな」

「ありがとうございます」

は少年に礼を言うと、もう1度崖の上を見上げた。

「ブックマンさん。飛んでいってもかまいませんか?」

「飛ぶ?」

「飛べるのか?」

「はい」

にっこりと笑って2人を見ると、は両手を差し出した。

その仕草を2人はいぶかしげに見つめる。

「手につかまってくだされば、上までお運びしますよ」

「ふむ...では頼むとしよう」

「俺はいいさ。これがあるから」

少年が(つち)を見せる。

それでどう登るのかは分からなかったが、は頷いてブックマンの体を片手で支え、上を目指して飛び上がった。

その様子を少年が面白そうに見上げている。

しばらくすると、少年は槌を握りつぶやいた。

大槌小槌(おおづちこづち)...(シン)!」

少年が握っていた槌の()が一気に伸び、たちのところまであっという間に追いつくと、そのまま追い越していった。

はそれをぽかんと見ながらも、如意棒みたいと感想を口にした。











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