「......」
「......」
「......」
「、あんたいろいろと規格外すぎ...」
「...まぁ、私もそう思うけど...ビスケは磨くと光るモノ好きでしょう?」
「物事には限度ってもんがあるわさ。こんな短時間じゃ、磨いた実感が無さ過ぎるわよ!」
「...そうね」
「お2人ともそんなにしみじみと言わなくても」
「「言いたくもなるわ(さ)」」
「あんたねぇ、普通は説明しただけで全部出来るようになるなんて不可能だわよ」
「四大行から念の応用まで...どうやったら3時間で出来ちゃうのよ」
「原理がわかれば、ある程度は出来ると思いますけど?」
「普通はタイミングや感覚をつかむのに、もっと時間がかかるものなのよ」
「でも結構、今後の課題があると思いますよ。円の範囲とか、流の速度とか、練の威力とか...」
「それだって初めてなのが信じられない位だわよ」
「そうね。それにまだ練を維持してるし...初めての人なら5分ももてば良いほうなのよ」
「でも、エネルギーの消費率は高いですよ。常にエネルギーを合成してるのに、消費量の方が高いですから」
の言葉を聞くと、ビスケは呆れた顔をした。
「...それってあんたにしか出来ない裏技じゃないさ」
「でも、人も食事をしてエネルギーを作り出しているんじゃないんですか?」
少々ずれたの考えに、今度はアサヒが呆れた。
「食事をするのにもエネルギーは使うでしょう。それに、いつもエネルギーを作り出すなんて無理なのよ」
「...分かりました。覚えておきます」
((この子本当に分かってるのかしら?))
2人は脱力感に襲われながら、今後の予定を話し合った。
「...明日から何をしたら良いかしら?」
「そうね、とりあえずオーラの総量を増やすのと四大行の強化かしらねぇ」
「同時に燃の方もやった方が良いかもしれないわね」
「その後に攻撃と防御の切り替えと、念の応用を徹底的にやって...」
「実践の練習もいるわね」
「武器の扱いはどうする?」
「そうね触りだけでもやればいいと思うけど...」
予定を組んで行くと、いろいろとやることが増えていく。
「で、最後は系統別の...って、あ!」
「...そういえば、忘れてたわね」
「?、系統別?」
説明されていなかった言葉に、は首を傾げた。
第七話 念の系統
「が一気に応用までやったから、すっかり忘れてたわさ」
「私もよ」
2人は顔を見合わせて苦笑した。
「まぁ、今からやっても問題は無いからいいんじゃない?」
「そうね。、練を解いてこっちに来てちょうだい」
「はい」
がソファーに座ると、系統について説明を始めた。
「念能力は6つの分類できるの。基本的には一人一系統だけど、他の系統も修行すれば自分の系統をより高めることも出来るわ。それに、系統には相性があるわ」
「その相性を表したのが、この六性図。対角線同士の系統が最も覚えにくくて、両隣の系統が鍛えやすいんだわさ」
「基本的に自分の系統にあった能力を選ぶの。そして、自分の系統を知る方法を水見式というの」
そう言うとアサヒは立ち上がって、キッチンから水の入ったグラスを持ってきた。
「ビスケ、植木鉢の葉を1枚とってちょうだい」
「はいよ。今はあたしたちしかいないからいいけど、自分の系統や能力はあまりばらさないようにしなさい。最悪の場合、死ぬからね」
「分かりました」
「、このグラスに手を近づけて練をして。練をしたときの変化で系統を調べるの」
は立ち上がってアサヒの隣に行くと、グラスに手を近づけて練をした。
「...この場合どの系統になるんですか?」
「特質系だわね」
「そうみたいね。の場合、必然的な感じがするけど」
水にはが見ているであろう映像が映し出され、葉にはの聞いている声が文字として浮き出ている。
「?、必然ってどうしてですか?」
「特質系は、特殊な環境に置かれたときに発動するケースが多いからさ。あんたの場合、ちょっと特殊すぎる気がするけど」
「そうですか?」
の反応にアサヒは苦笑すると、に練をやめるように言った。
「さっき言い忘れたけど、水見式は『発』の修行でも使われるの。突き詰めて言えば、個人の能力はすべて『発』の応用といえるわ」
「自分の能力を決めるときは、フィーリングが大事になってくるわさ。『自分に合っている』という認識がね。大抵は、系統別の修行をしながら決めていくんだけどね」
ビスケの話を聞いた後、はじっとグラスを見つめた。
その様子を見ていたアサヒは、口元に笑みを浮かべてに話しかけた。
「思いついたの?」
「はい」
は微笑を浮かべると、二人のほうを向いた。
「具体的なものはまだですけど...」
「聞いてもいいかしら?」
「あたしも聞きたいわ」
は二人の言葉に、こくりと頷いた。
「候補としては2つです。1つは、情報収集のためのもの。もう1つが逃げるためのものです」
「そうね、前者の方はいいんじゃないかしら。あなたに合っているし。でも、なぜ逃げるための能力にしようと思ったの?」
「まぁ、あたしは大体予想がつくけどね」
「あら、分からないのは私だけなの?」
アサヒは得意そうに笑うビスケに、少し憮然とした視線を向けた。
そんな2人を見てはかすかに苦笑を浮かべた。
「ビスケさんが来る前に、アサヒさんが話してくださったでしょう?わたしが狙われる可能性があるって」
「つまり、狙われる可能性を考えて、あらかじめ退路を確保しておくということかしら?」
「はい。戦闘経験がない以上は、よっぽどのことがない限り逃げた方が確実だと思いますし」
「そうね。でも、かなりの実力者だと逃げる隙がない場合があるわよ」
「ええ、その場合には何とか隙を作る方法が必要になるんですけど...」
その方法が思いつかないと言って黙り込んだに、ビスケが話しかけた。
「それなら、攻撃系のやつを作ればいいわさ」
ビスケの提案に、はわずかに目を見開いた。
「そうですね...いざというときに、相手に隙を作りやすくなるでしょうし...」
「そうね。初めてにしてはちょっと数が多いかなとも思うけど、あなたなら大丈夫でしょう」
「まぁ、最初はさっき言ってたことをやっていきましょう。オーラ切れで動けないところを捕まったら、どうしようもないしさ」
「もしそんなことになったら、知り合い全部に連絡して笑いものにするからね」
「...それ、面白そうだわね」
アサヒとビスケは顔を見合わせてうふふと笑いあった。
本気なのか、からかいなのか分からない二人の言葉に、は顔をひきつらせ、こわばった声で何とか返事をしぼり出した。
「......がんばらせていただきます」
あとがき
H×H第七話終了です。
うちの主人公はアサヒさんとビスケさんに弱いです。
(というか、2人が黒いのかも...)
ここまで読んでくださって、ありがとうございました!
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