その後変装していた悟空の正体がばれたり、多少のごたごた(のブルマに対する説教)などがあったが、ウーロンが見掛け倒しであることが村人全員に明らかになった。
そして達はウーロンに案内させて村人たちと共にウーロンの住処を目指し歩いていた。
「アリとかに化けて逃げようとしたら踏み潰すからな」
「......」
「あはは、悟空もこういうときの勘がついてきましたねぇ」
「へへっ!」
「いやー、たいしたボウズだ!」
それから30分ほど歩いたところで、山の中に不釣合いなほど大きな館が見えてきた。
「ここのようですね」
「あんた生意気な家にすんでるのね〜。似合わないわよ」
「ふふふ...そこらじゅうから金を巻き上げて造った家なのだ」
「威張って言うな!」
「それじゃあお金を巻き上げた村を全部言って下さいね。後でその方達に取られた分を持って行って貰わないといけませんから」
「な、何!」
「ちゃんと全部言って下さいね...無理矢理に話させるための拷問方法はいくらでもありますから」
「わ、わ、分かった!分かりました!ちゃんと言う!言いますから!!」
「それは何よりです」
「?、何いきなり敬語使ってんのよ」
「変なやつだなぁ」
がウーロンにしか聞こえないように言った脅しに怯えて、冷や汗を流しながらあわてたように返事をするウーロンに周りの人たちは首を傾げた。
はその様子をにっこりと笑って見ながら話題をそらす。
「それじゃあ中に入りましょうか?娘さん達も待ってるんじゃないですか?」
「ハッ!そうだった!ヘッジーーーーっ!!」
「ホッグちゃーーーん!」
「リーーーーーっ!!!」
の言葉で慌てて中へと入っていく親達の後を、達も追いかけて行った。
親達の少し後に中に入った村人たちは、さらわれていた娘達を見てポカンと口を開けた。
そこには思い思いに豪華な服やアクセサリーで着飾った娘達が、全く帰る気が無いという感じでくつろいでいた。
「おやおや...これはまた...」
「...だからおとなし〜い女の子が欲しかったんだ...こいつら無茶苦茶ゼータクするし...頼むから連れて帰ってくれ...」
「「「「「「「「「.........」」」」」」」」
ウーロンの言葉を聞いた娘の親と村人達は、非常に微妙な表情で黙り込んでしまった。
ウーロンの住処を離れたブルマ、悟空、は、なぜかその中にウーロンも加えてボートに乗っていた。
「これで残りのドラゴンボールは後2つよ!!思ったより早く集まりそうだわ!!」
「...でもさぁ、何でウーロンも連れてくんだ?」
「こっちだって聞きたいわい!!」
「あの変身術はなかなかのもんだわ!旅の役にたちそうよ!!」
「オレやだぞ!!旅なんてめんどくさいこと!!」
「暑いわねー。今晩は下着だけで寝ようかな〜」
「え!?...ま...まあたまには旅行ぐらいいいかな...」
「...ブルマさん...」
「何よ!?説教はもう聞かないからね!」
隣で呆れたような目を向けてくるに、ブルマは多少あせりながら目を反らす。
パンパン
「ん?」
「!!何するんだ!!気持ち悪いっ!!」
「お前男だな!」
「当たり前だ!!見りゃ分かるだろ!!オレは女は大好きだけど、男は大っ嫌いなんだぞっ!!二度と触るなよっ!!」
「わっ!!」
(まあ...悟空もそのうち見た目で判断できるようになるでしょう...)
後ろで騒いでいる悟空とウーロンをよそに、は習うより慣れろですよねと考えていた。
第九話 砂漠地帯
6つ目のドラゴンボールを探して南西へと向かうこと早3時間、相変わらずボートは川を上っていた。
「遠いなあ...まだなのか!?」
「おい、お前ら大体どこに行こうとしてるんだ?」
「まだまだかなり遠いわよ。後3日ぐらいかかりそうね。、地図とって」
「はい、どうぞ」
「え...と...フライパン山...この辺りね!」
「なっ何ーーーーーーっ!!フライパン山!?!!あっあんなとこに行くつもりだったのかっ!?」
目的地を聞いたとたん叫び声をあげたウーロンに、3人の視線が集まる。
「お前知ってんのか?」
「お、お前ら知らんのかっ!?フライパン山には、め、めめ、めちゃくちゃ恐ろしい牛魔王がいるんだぜっ!!!!」
(そう言えば、以前悟飯さんがこの世界の牛魔王はちゃんと人間で弟弟子なんだと言ってましたねぇ...悟飯さんのことを伝えておいた方が良いかもしれませんね)
「あっ!!」
「ん?」
物思いにふけって話しを聞いていなかったが顔を向けると、いつの間にかウーロンが魚に化けていた。
「へっへーんだ!あばよっと!!」
「あっ逃げたっ!!!」
「...まあ、いてもいなくても大差ないでしょうけど」
「しょーがねえやつだなー!オラがもぐって捕まえてきてやる」
「待って、ウーロンを捕まえるのにわざわざもぐる必要ないわ」
「え?」
「も後ろに行って、ちょっとあっち向いてて」
「はぁ...別に構いませんけど」
が後ろに移って他のところを向いていること約一分、ブルマに声をかけられて振り向くと、釣竿の先についているものを見て思わず天を仰いだ。
「どうしてあなたは...そういうことを...」
「なんだそれ?」
「脱ぎたてのパンツ!!」
ブルマがそれを水の中に入れて1分も経たないうちに、釣竿に引きがきた。
「そらかかった!!」
「しっ、しまった!!」
「お前何考えとるんだ...」
「こういうことを考えるブルマさんもですけど...それに引っ掛かるウーロン君も理解不能です...」
「何よ!失礼ねっ!!」
呆れた顔でため息をつくにブルマが怒鳴ったあと、ボートをさらに上流へと進めていく。
「今度逃げたらカツにして食っちゃうからな!」
「しょ、しょうがないからついてってやるが、さっきのパンツくれよ...」
「ほら、代わりにこれあげるわ」
「え?なんだこれ!ただのアメ玉じゃないか!!」
「そのうちウーロンが役に立ったらパンツあげるから」
「ホントだな!?約束だぞ!!」
「なあ!!オラにもアメ玉くれよ!」
「あんたは良いの!」
「悟空、今度町に寄ったときに(薬の入ってないのを)買ってあげますから」
「へっへっへっ〜〜〜〜〜!!オレの方が女にもてるタイプだからな!」
ボボッ...ボッ...プスン プスン...
「あら?」
「おい、エンジンが止まっちまったぜ」
「しまったガス欠だ。ねえ、あんたガソリンには化けられないの?」
「化けられるわけないだろ...」
「ガソリンて何だ?」
「簡単に言うと船やバイクのご飯ですね。人には食べられませんよ」
「ふーん」
の説明を聞いて食べられないと分かった悟空は、あまり興味なさそうに頷いた。
「じゃあ岸につけてホイポイカプセルでガソリンを出すから、オールに化けてよ」
「オールにか...」
「オームって何だ?」
「変化!!『BOM!!』」
「こういうのがオールです。水を掻いて船を前に進めるんですよ。出来ますか?」
「おう任せろ!そりゃ「ブッ」そりゃ「ブホッ!こらっ!!オレはデリケートなんだぞ!!もっと丁寧に扱えっ!」
ウーロンの文句を聞き流しながら、船を岸へとつけロープで繋いだ。
「おい、役に立ったぞ!パンツくれよな!」
「あれぐらいでパンツがもらえるなんて甘いわよ」
「き、汚ねーぞ!約束じゃないか!!一枚だけでいいんだ!!」
「あれ?」
「?、どうかしましたか?」
「な...ない...カ...カプセルの入ってたケースが無い......!!」
「...鞄の中に入れてなかったんですか?」
「ポケットに入れてたのよっ!!!きっと川に落としたんだ〜〜〜〜っ!!!」
「どうしたんだ?」
「カプセルを落としてしまったので、ボートのガソリンが出せない上に、移動手段が歩きで野宿になるということですね」
「良いじゃないか、そのくらい」
「あんたは筋斗雲に乗れるからいいわよねっ!!!」
「だったらウーロンにバイクとか言うやつに化けてもらって行きゃいいだろ?」
「頭いいっ!!なるほど!!!はぁ〜い、ウーロンちゃ〜ん!!...げっ!!い、いないっ!!」
「あのやろう!!また逃げやがったな!!」
筋斗雲で上空からウーロンを探している悟空を見ながら、は小さく苦笑していた。
(ウーロン君の変化は、体力や能力が変わるわけじゃないんですから...バイクに化けても人を乗せることは無理だと思うんですけどねぇ)
「ダメだ、こりゃ見つからないぞ」
「ぐっふっふ...そういうことなら...ピーピーピーピーピーピーピー...」
「「?」」
「ほらーウーロンちゃんゲリになっちゃったでしょうーーー?あんたがさっきなめたアメ玉は、わたしが作ったのよー!PPキャンディーって言って、ピーピーいうとなめた人はゲリになっちゃうのーーー!!早く戻ってこないともっと言い続けるわよーーーーっ」
「す...すいません...も、もう逃げません.........や...やめてください......」
「ちゃんと言うこと聞かないとまたやるわよ」
「はい......」
「はぁ〜〜〜」
「用意周到ですね」
はブルマの行動に苦笑しながらも、岸につないであったボートをカプセルに戻してブルマに手渡す。
「さ、ウーロン、バイクに変身してちょうだい!」
「私も自分のを出しましょうか」
がカプセルを投げた反対側で、バイクに変化したウーロンに文句をつける。
「これバイク!?あんたセンス古いわね〜」
「うるっせえな〜」
「まあ...歩くよりましか...」
「『くしゃ』ぎゃふん!!」
「しっかりしてよ!つぶれちゃったじゃない!!」
「ててて...!しょうがないじゃないか!!俺は格好だけは化けられても力は変わらんのだ...!!オマケに変身してられるのは5分間だけ、その後一分の休憩がいるのだ...」
「ガーン」
「...ブルマさん、後ろに乗りますか?」
「!!そうよ!が孫くんと一緒に筋斗雲に乗って、わたしがバイクに乗れば...」
「すいません...個別人称システムつきで、運転できるのは私だけです」
「な、何でそんなのつけるのよ!!」
「そう言われましても...」
いらだったように怒鳴るブルマには苦笑する他なかった。
それからしばらくして、結局、ブルマ、ウーロンがバイクに乗ることになり、は川岸から南西へと向かってバイクを走らせていた。
「あっつーーーーーい!!!」
「あちぃ...」
「お前達だらしないなー」
「わたしは都会育ちなんですからね!!あんたみたいなイナカ育ちの野生児と一緒にしないで欲しいわ!!」
「あまり話しをすると、また舌を噛みますよ?」
「分かってるわよ!それにしても何よここは...ほとんど砂漠じゃないの...」
「し、仕方ねえだろ...ここを通らなきゃフライパン山にはいけないんだ...」
「というか...今日はここまでですね」
「え!?何でよ!?」
「暗くなってから野宿の準備をするのは大変なんですよ。食糧も何も無いんですから」
「だけどもうちょっと位...」
「ブルマさんとウーロン君が大人しくしてたらもっと進めましたよ?」
「「うっ」」
はブルマとウーロンが言葉に詰まったのを境にバイクを止め、荷物を降ろした後バイクをカプセルに戻す。
「それじゃあ、私は食べられるものを探しに行って来ますから、3人は休んでてください」
「、オラも行こうか?」
「いえ、悟空はここにいてください。もう大分お腹がすいてるでしょう?」
「おう...腹へった」
は悟空の素直な反応に笑みを浮かべ、悟空の頭を撫でると、岩石が密集し鳥が多く飛んでいる方へとと駆けていき、あっという間に見えなくなった。
「は...速ぇ...」
「あたりめぇだ!はオラより強いんだからな!」
「お、お前よりか!?」
「おう!!」
「まあ、に任せとけば安心よね...ところでこのあたりにホントにホテルか旅館無いかしら」
「あるわけねーだろ...」
「やだやだやだ〜〜〜〜〜っ!!お風呂入りたい!!ベットじゃなきゃ眠れない〜〜〜〜〜〜っ!!!」
「あいつ性格良くないな〜、わがままだぞ」
「お前人のこと言えんだろ」
「...グー...グ〜...」
「...とか言いながら、しっかりねてら...」
「......俺たちもが来るまで寝るか」
「オラ腹へったなあ...」
ハゲタカ程もある大きな鳥を血を抜いたとは言え片手で10羽近く持っていながら、スピードを落とすことなく走っていたの耳に、わずかな金属音が聞こえてきた。
「?...武器同士がぶつかる音?...盗賊とかですかね?」
は手に持った鳥を抱えなおすと、先程よりスピードを上げて悟空たちが待つ場所へと走っていく。
程なくして、の目に悟空と見知らぬ男が対峙しているのが目に入る。
そして信じられないことに悟空が男の攻撃で吹っ飛ばされたの見た瞬間、の目がスッと細くなり剣呑な光を放つ。
「さあ、これ以上ひどい目にあいたくなかったら、金かカプセルをよこすんだな」
「わ、分かりました...!!ちくしょう...とっておきのカプセルだったのに...ど...どうぞ」
「ほほう!Mサイズのカプセルか、ガキのクセに贅沢な。ふふふ...良い金になりそうだ」
ヒュッ!!
「ヤ、ヤムチャさまっ!」
「?...どうし『ガッ!!』ぐおっ!!」
「えっ!?!!!」
「...まったく...私の息子を蹴り飛ばさないでいただけますか?」
「この野郎!!さっきはよくもっ...て、あれ??」
「ええ、ただいま悟空。ちょっと鶏肉1羽分放り投げちゃいましたけど、まあ味は変わりませんから大丈夫ですよね」
がそう言って地面に倒れている男とそのそばに転がっている鳥に目を移すと、悟空も鳥のくちばしが当たったこめかみを押さえている男に目を向けた。
「くっ...貴様っ...!!」
「生憎、初対面で貴様呼ばわりされるいわれはありません」
「、オラ腹へった〜」
「ああ、そうでしたね。じゃあご飯の準備しましょうか?」
「無視するんじゃないっ!!!うおおおお〜〜〜〜っ!!!」
男を無視して話しをすると悟空に切れ、怒りの形相でと悟空に男が向かってきた。
「うわわっ!!あいつを怒らせてしまったじゃないかーーーーっ!!」
「うう〜...ん...うるさいわね〜〜〜!眠れないじゃない!!」
「!!」
「ん?」
「「?」」
ブルマと目が合った男の動きがピタリと止まり、体の動きがギクシャクとなった男が地面に倒れる。
「ヤムチャさまーーーーーっ!!」
「プ、プ、プーアル...と、とりあえず引き上げるぞ...」
「は...はい!!」
「い、いいかっ!!必ずカプセルは、い、いただくからなーーーーっ!!」
「.........あれ?」
「な、何だ?どうしたんだ!?」
「さあ?」
ふらふらとジェットモモンガに乗って去っていく男達に、と悟空、ウーロンは首を傾げる。
日陰に入っていたブルマは勢い良く起き上がって外に出てくると、先ほどの男達を指差して嬉しそうに騒ぎ出した。
「ねーねー、今の誰!?割といい男じゃなかった!?」
「.........」
「腹へった〜〜〜」
「そうですね、ご飯にしましょうか?...ところでウーロン君、そのカプセルって何ですか?」
「えっ!?こ、これは...」
「カプセル!?あんたなんでそういうもの早く出さないのよ!!」
「わ、分かったって!!ちゃんと出すから!!」
ウーロンの持っていたカプセルはハウスワゴンであったため、中に入るとは備え付けのキッチンですぐに調理を開始した。
あとがき
ドラゴンボール第九話終了です。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
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