ワゴンハウスのキッチンで作ったの料理が次々に出来ていく一方で、それらの料理がどんどん悟空のお腹の中に納まっていく。

「あんたこんなカプセルがあったのに、何で黙ってたのよ!!ケチ!!」

「くっそ〜〜...とっておきだったのに...」

「ウーロン君これ運んでもらえますか?」

「...分かったよ」

の差し出した皿を面倒臭そうに受け取ると、ウーロンは料理を悟空のところまで持っていく。

「バスルームある?」

「そこだ...お前無茶苦茶食うなあ」

「腹減ってたからな!」

「狭いバスルームね〜、シャワーしか使えないじゃない!」

「贅沢言うな」

「覗かないでよ、ウーロン!」

「はい」

「あ、ブルマさん着替えないでしょう?私の鞄から適当に持っていってもいいですよ」

「そう?ありがと〜」

の言葉にブルマは床に置いてあった鞄からTシャツとズボンを取り出す。

「う〜ん...やっぱり下着は無いか」

「当たり前でしょう」

「まあ、しょうがないか」

そう言ってバスルームに入っていったブルマに呆れたようにため息をつくと、は鍋を掛けていた火をとめ出来た料理をよそった。

それから10分ほどして悟空が料理を食べ終わると、はほとんど休むまもなく後片付けをはじめる。

「あれ?は食わねーのか?」

「作りながら摘みましたから大丈夫ですよ」

「ふーん」

「なあ、あいつらまた襲ってくるんじゃねえだろうな」

「来たっていいさ。ハラいっぱい食ったから負けやしないよ!」

「そうですねぇ。悟空はお腹いっぱいならちゃんと力出ますものねぇ」

「おう!!」

元気良く返事をした悟空にウーロンが小さな声で話しかける。

「...なあ、さっきも思ったけどってお前に甘くねえか?」

「そうかあ?」

「内緒話のつもりでしょうけど聞こえてますよ、ウーロン君」

「え?あ、あはははは...」

「まあ、いいですけどね。私の場合、家族に対しては以上に甘くなると師匠にも言われましたし」

「師匠って...あの孫悟飯か?」

「いいえ、私の母の友人に当たる方ですよ。私はその方から『身内の師匠にはならない方が良い』とお墨付きをもらってしまうくらい甘いそうですから...」

「あー...でもそんな感じだよなあ...」

「ええ、本当に...義弟達を鍛えたときは厳しく接するのにかなりのストレスを感じましたからねぇ...」

「ん?、弟いたんか?」

「お前自分の親のこと知らねーのかよ!?」

「まあ特に話すこともありませんでしたしね...義弟達は武術家ではなく科学者ですし...」

「はぁ?科学者って...お前の家族って変」

呆れたように呟くウーロンにはただ笑って聞き流し、返事が返ってこないことが分かったウーロンは話題を変えた。

「...ところでよ、お前らは何で旅行なんかしてんだ?何でわざわざおっそろしいフライパン山なんかに行くんだよ?」

「ドラゴンボールがあるんだ」

「何だ?そのドラゴンボールって...?」

「オラも1個持ってるから見せてやる...これだ」

悟空がドラゴンボールをテーブルの上に出したとき、はハウスワゴンに近づいてくる2つの気配に気づいてそちらの方に目を向けた。

ハウスワゴンの外に出していた『小さな蜜蜂(シークレット アイズ) 』からは、昼間の男ヤムチャとネコのような生き物プーアルの映像が送られてくる。

は送られてくる映像に少し考え込むと、まあ害は無いだろうとあっさり切り捨てて片付けの続きに戻る。

は片づけが終わると話しをしている悟空とウーロン、そして自分の前にお茶を置いた。










   第十話   夜









「それホントかよ!!」

驚きの声を上げるウーロンに首を傾げながら、は悟空に話しかける。

「?、何の話をしてたんですか?」

「ドラゴンボールのこと話してたんだ」

「このドラゴンボールを7つ集めたらその竜が願いをかなえてくれるのか!?」

「かっこいいだろ」

(かっこいいって...悟空にはそういう認識なんですねぇ)

「どんな願いでもか?」

「うん、そう言ってたぜ」

「...で、今このボールはいくつあるんだ?」

「5つ!6つ目がフライパン山にあるらしいんだ」

「そうか、それで必死にフライパン山に行こうとしてるのか...ボートで見ていたレーダーでドラゴンボールのある場所が分かるんだな」

「うん、そうみたいだぜ」

(おや?あの2人(1人と1匹?)離れていきましたね...ああ、やっぱりドラゴンボールに興味を持ちましたか...)

先程まで壁越しに感じていた気配が離れたことで、『小さな蜜蜂(シークレット アイズ) 』で確認したが小さく苦笑する。

「まあしかし、オレそういうのにあんまり興味ねえな...」

「何でだ?オラいっぺんでいいから竜を見てみてえな!」

「何だお前ら竜が見たいからボール探しを手伝ってるのか?」

「そうだよ!!修業も出来るしな!いろんなものが見れておもしれえもん!」

「私の場合は、悟空の保護者として同行してるだけですけどね」

「変なやつだなお前ら...オレが興味あるのは女だけだ」

「だったら竜に女が欲しいって言って、もらえば良いじゃないか」

「そうか!お前頭いいな!!」

「でもさ、何で女なんか好きなんだ?お前こそ変やつ」

「ちぇ、ガキだな〜〜」

「知ってるか?女にはなチンもタマもねえんだぞ。それによう『ゴン』てっ」

悟空の言葉を遮るように、悟空の頭にブルマのこぶしが振り下ろされる。

「何馬鹿なこと言ってんの!!」

「あ」

「ブルマさん、どうしたんですかその格好は?」

「どうしたじゃないわよ!上はいいけど、何よこのズボン!!わたしより太ももとウエストが細いってどういうわけ!?

「え?...鍛えてるからですかねぇ...」

困ったように言うにブルマはため息をつくと、ウーロンを見下ろした。

「しょうがないわね。ウーロン、わたしの服明日までに洗濯しておいてちょうだい!」

「はーい...人使い荒いなあ...」

「それじゃあ、私もお風呂入らせてもらいますね」

「ああ...ごゆっくり

がバスルームに入るとウーロンは冷蔵庫からジュースを注いで持ってきた。

「ところでお風呂上りに冷たいジュースでも飲まんか?」

「あら、たまには気が利くじゃない」

「ジュースって何だ?」

ウーロンはゴクゴクとジュースを飲み干すブルマにほくそ笑みながら悟空にジュースを渡す。

「ほらお前もぐーっと飲め」

「甘ったるいな〜これ」

「ジュースを飲むともっと強くなれるぞ!」

「ホントか!?じゃあ飲む!ウーロンは飲まないのか?」

「オレはさっき飲んだ」

「ふーん」

「さ、寝よかな。ベットどこ?」

「その階段を上がったところだ」

「あんた達は下で寝るのよ!ウーロン!わたしが寝てるときに変なことしたら、またピーピー言ってゲリにするからね!」

「はいはい...」

2階に上がって行ったブルマを見送って、ウーロンは不機嫌そうな顔になる。

「あいつ体はいいが性格悪いな...」

「............ガー...ガー...」

「!...ふっふっふ...ジュースに入れた睡眠薬が早速効いたようだな...ひひひひ...あの女さわってやる、さわってやるぞ〜〜...と、その前に...」

ウーロンはバスルームのドアに外側から静かに鍵をかけると、足音を殺してブルマが眠っている2階へと上っていった。

しかし、当然そんな行動はには筒抜けになっていたが、ハウスワゴンの外との情報も合わせて考えると大したことになら無いだろうと放っておいた。

ウーロンが2階へ上がってすぐ、ヤムチャが勢いよくハウスワゴンの中に入って来る。

「ん?だらしなく寝てやがる。それよりブタとあの男の姿が見えんな...」

「男の方はお風呂のようです...あいつも2階に行ったのかも知れませんね」

「よし、お前この女に化けて女とブタを外へと誘い出すんだ」


「変化っ!!『BOM!』...似てますか?」

「うむなかなかのもんだ」


は1階と外にしか『小さな蜜蜂(シークレット アイズ) 』を置いていなかったため2階の様子は分からなかったが、程なくして悟空に化けたプーアルとブルマに化けたウーロンが降りてくるのを確認すると吹き出しそうになった。

「っ...ほっ...本当にだまされてるんですか?...くっ...くくくっ...さ、3頭身のブルマさん...」

が笑の発作を抑えているうちに、急いで戻ってきたプーアルがヤムチャを連れて行ったが、に気付かずに出て行ったので、も2人を気にすることなく悟空の隣で眠りについた。

しばらくして帰ってきたウーロンが鍵のかかっていたバスルームから出てきているに驚いていたが、ジュースに睡眠薬を入れたことを話すわけにはいかないので、ウーロンだけが徹夜で見張りをすることになったのは、ウーロンの自業自得と思いは眠り続けた。









あとがき

ドラゴンボール第十話終了です。
3頭身のブルマさんが好きなんです!(←管理人のわがまま)

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

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