「そう言えばずいぶん前...悟飯から尾のある子供を拾って、義息子と一緒に育てていると聞いたことがあったが...」
「やばいな〜車壊しちゃった......」
「私も車を止めている場所を考えてませんでしたからねぇ...一緒に謝りますよ」
壊れた車を見ながら話す2人と少し離れたところで、亀仙人は思い出しながら言う。
「ふっふっふ...あの様子じゃと、2人とも相当鍛えこんでいるようじゃな」
亀仙人は軽い足取りで2人のところまで進んだ。
「これ、小僧ら。悟飯の爺は元気か?」
「...悟飯さんは」
「じいちゃんとっくに死んじゃったよ」
「5年ほど前に...」
「なんと!!むむ〜〜〜〜そ...そうか...惜しい男を亡くしたのう...」
「...そう言っていただけると、悟飯さんも喜んでくださると思います」
「そうか」
目を伏せて言うに、亀仙人はゆっくりと頷きながら言った。
「どうじゃ、2人ともわしの家にこんか?修行次第では、お前ら、このわしを抜けるかもしれんぞ」
「ホントか!?」
「...よろしいんですか?」
「ウム」
「じゃあ、ドラゴンボール全部見つかったらすぐ行くよ!!」
「と、言うことで、お邪魔するまでに少し期間はあくと思いますが、よろしいでしょうか?」
「かまわんよ」
「ありがとうございます」
「バンザーイ!!バンザーイ!!」
が深々と頭を下げた時、ブルマの声が聞こえてきた。
「ははっ!!見つかったみたいだな!!」
「そのようですね」
第十六話 未来の約束
「なっ、何よこれ!!?メチャクチャじゃない!!」
「すまん...」
「すみません...」
七星球を持って戻ってきたブルマがあげた声に、と悟空は素直に謝った。
「この先どうすんのよ〜」
「車ならおらのやつをやるべ」
「え!?ホント!!」
「いいんですか?」
「ああ、かまわねーだ」
「ありがとうございます」
牛魔王が持っていたカプセルを投げると、3人乗りのエアカー(タイヤがなく、浮いて走る車)が爆発音とともに現れた。
「わお!!」
「ちょっくら古いやつだが、なかなかはえーど!」
「ステキ!!どうもありがとう!!」
「、オラもこれに乗っていいか?」
「いいですよ」
がうなずくと、悟空は後部座席に乗り込み、もバイクにまたがった。
「いよいよ最後のドラゴンボールは......」
運転席に乗り込んだブルマがドラゴンレーダーで最後の1つを探し出す。
「え...と...近くにはないわね...縮尺をもっと大きくしなきゃ...あった!!」
「どこですか?」
「西だわ!!かなり遠いけど」
ブルマはレーダーをしまうと牛魔王たちに手を振った。
「じゃあ、皆さん。お世話になりました っ!!」
「またな っ」
「バイバ イ」
「機会があれば、またお会いしましょう」
「こりゃ」
出発しようとしたとき、亀仙人がブルマの頭を杖でこつんと叩いた。
「え!?」
「何か忘れとりゃせんかい?大事な約束を」
「へへへ...やっぱり覚えてた?............ちょ、ちょっと待ってね...ウーロン、ちょっと」
「え!?」
車を降りたブルマはウーロンを呼んだ。
そして全員から見えない位置まで移動していった。
「「「「?」」」」
何をするのか分からない亀仙人の3人と悟空は首を傾げた。
そんな4人をよそに、亀仙人は頬を染めてそわそわと落ち着かずにいた。
「遅いのう...何をしとるんじゃろ」
「あんの〜いったい何ですだ?」
「「「?」」」
「いっ、いやっ!!な、何でもないっ!!何でもない!!」
「...そうですか?」
「う、うむ。そうじゃ!」
亀仙人が動揺しながらも頷いた時、塀の影からブルマがひょっこりと顔を出した。
「はぁい♥」
「...?(この声は間違いなくウーロン君ですよね?)」
手招きするブルマの声がウーロンの声だと気付いたのはだけで、亀仙人は気付かずに偽ブルマの方へと走って行った。
ブルマはウーロンに自分に変化させて、代わりに胸をつつかせる作戦に出ていたのだが、ここで誤算が1つあった。
ウーロンが亀仙人に胸をつつかせるのではなく、パフパフをさせたことだ。
それを鼻血を大量に放出しながらやった亀仙人はゲッソリとやつれ、ブルマは変化のとけたウーロンの頭をぽかりと殴った。
もっとも、これはたちに見えないところで行われていたので、知られることはなかったが。
「終わったかな...」
「なあ、悟空さ」
しばらく待っていた悟空がポツリと呟いた時、チチが悟空に話しかけた。
「おらたちもうちっとおっきくなったら、嫁に貰いにきでくれな」
(なるほど...だから自己紹介の時に『未来の』と付けたんですか)
「え?何をくれるって?」
「チチちゃんを悟空のお嫁さんにしてほしいってことですよ」
「やんだ !そっだにはっきりと言われっと、はずかすいべ」
「?、なんかよう分からんが、くれるもんなら貰いにくるぞ」
「悟空...(なんかよう分からんがって...)」
勉強をもう少しさせたほうがいいかなと考えていると、ブルマとウーロンと、鼻にティッシュを詰めた亀仙人が戻ってきた。
「亀仙人さん、なぜ鼻にティッシュを...?」
「、深く聞かないで」
「はぁ、別にかまいませんけれど」
亀仙人ではなく、ブルマが強い口調でそう言ったので、とりあえず頷いておいた。
車に乗り込んだブルマは、今度こそエンジンをかける。
「じゃあね っ」
「元気でなーっ」
「それでは、また」
「おう、また来るだぞ っ」
「きっとだで っ!!」
「ぱふぱふ...」
1人別れの挨拶とは違うことを言ってはいたが、それを気にせずに4人は出発した。
もらった車は、今まで乗っていた車とは比較にならない速度で走る。
「いよいよドラゴンボールもあと1個だけねーっ!!」
「早く龍が見たいな っ!!」
「ええ、楽しみですね」
4人は西へと延びる道をまっすぐに進んで行った。
余談ではあるが、発信器のついた車が壊れ、直接後をついて行くしかなくなったヤムチャたちは、牛魔王が早いと言った車にもともと乗っていた車では追い付くことができなかったため、追いつける車に乗り換えていた
あとがき
ドラゴンボール第十六話終了です。
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