「!ダイジョブか!?」
「大丈夫ですよ。さて、彼らをどうしましょうか?」
に促されて外にたたずむヤムチャたちを見た悟空は、むっとした顔になって外に飛び出した。
「やいやいやいっ!!何するんだよっ!!」
「こういうときは、『止まらないと撃つぞ』の一言があってしかるべきだと思うんですけどねぇ」
「良かったですね、ヤムチャ様。女は気絶したみたいですよ」
「ウム」
と悟空の言葉を無視して、襲撃してきた2人(1人と1匹)は話をしている。
「おい、貴様ら。おとなしくドラゴンボールを俺によこせ!言うことを聞かんとまた痛い目にあうぞ!」
「お、おい、あいつ何でドラゴンボールのこと知ってんだ!?」
「昨日の夜盗み聞きしてたからでしょう。で、どうしますか悟空?」
「決まってる!お前らなんかにゃやらん!!」
「と、いうことです」
口をを横に引っ張り、舌を出しながら言う悟空と、笑顔を向けながら言うの言葉に、ウーロンが慌てる。
「ア、アホ!!あれぐらいくれてやれっ!!こ、殺されるぞっ!!」
「べ !」
「大丈夫ですよあれくらい」
だっ!!
「あっ!バ、バカ!!」
「いってらっしゃーい」
ヤムチャに向かって行った悟空に、とウーロンは逆の反応を示す。
「あ!あいつ向かってきますよ!」
「ふふふ...自動小銃を預かれ。あの小僧、よほど俺に稽古をつけてほしいらしい...」
向かってきた悟空にヤムチャは不敵な笑みを向けた。
「はっはっは!!また俺の狼牙風風拳で打ちのめされたいかーっ!!!」
「昨日は腹が減ってたんだい!!今はハラポンポンだぞ っ!!」
「それっ!!」
「なんの!!」
悟空はヤムチャが繰り出した拳を受け止め、捌くとカウンターを叩き込む。
そのカウンターをヤムチャが受け止め、すぐさま回し蹴りを放つ。
それを飛んでかわすと、そのままヤムチャの顔に向かって飛び蹴りを繰り出す。
バキッ!!
どさっ
その蹴りをまともに食らい、ヤムチャは地面に倒れこんだ。
第十二話 ヤムチャの襲撃
「く...!こ、このやろ〜...」
「ヤ、ヤムチャ様っ!」
「さあ、もっとかかってこいっ!」
「ああっ!ヤ、ヤムチャ様、歯が...!!」
「え!?」
ヤムチャがプーアルから鏡を受け取り、鏡を覗き込むと、左前歯の1本が折れている自身の顔が映っていた。
「うおおおお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!はっ、歯が、と、と、取れた!!お、俺の、り、り、りりしい顔が〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」
「......!?」
「......あの人は今まで顔面に攻撃を食らったことがないんでしょうか?」
は『顔に拳や蹴りを食らって歯が折れることくらいあるでしょうに』と言いながら呆れる。
「こ、こ、こ、このやろ〜〜〜〜〜...!!お、覚えてやがれ...!!」
口を見えないように手で押さえたまま、捨て台詞を残して2人は去って行った。
「な...何だ?もうおしまいか...?」
「一応そうみたいですね」
悟空の言葉にが頷くと、それまで様子も見守っていたウーロンが驚きの声をあげた。
「おい !すげえなお前よ!!めちゃくちゃ強いんだな!!見なおしたぜっ!!」
「むふふ」
「お腹が減ってるとこれ位の力が出ませんけどね」
「腹がいっぱいなら大丈夫だ!」
「...まあ、今はそれでいいでしょう(お腹が空いたままに戦わなきければならない状況にたたされた時、大丈夫なのかという不安はありますが)」
「しかしよ...あいつ追っ払ったのはいいが車がこれじゃな...」
ウーロンが壊された車を見ながら言う。
「まあ、ガソリンに引火しなかっただけでもましと思いましょう...ブルマさんが起きないとバイクに乗れませんね」
「起きるまで歩いて行くしかないね...」
「しょうがありませんね。悟空、荷物を持ってきてもらえますか?」
「おう」
テーブルの下からとブルマの荷物を悟空が取り出している間に、は来ていた上着を気絶しているブルマに着せると、ひょいっと背負いあげた。
「それじゃあ、車をカプセルに戻して出発しましょう」
「おう」
「へ〜い」
すたすたと歩いて行くの後を追うように、悟空とウーロンも歩きだす。
悟空はの隣に並ぶと、背負われ、大口を開けて寝ているブルマを見て呆れたような顔をした。
「女って暢気でいいな〜」
「...悟空も久しぶりに『おんぶ』しましょうか?」
「へ?」
「ブルマさんが起きてからになるでしょうけれど」
「オラ疲れてねえから平気だぞ」
「そうですか?」
微笑ましい会話をしている2人の横で、ウーロンがちょっとうらやましそうにを見てる。
「な、なあ、俺にもおんぶさせてくれよ...へへ...」
「お前、におんぶしてもらいたいんか?」
「違うって!俺がその女をおんぶしたいんだよ!!何が悲しくて男におんぶされにゃならん!?」
「男に云々は置いておくとしても...ウーロン君の身長じゃブルマさんを引きずってしまうと思いますよ。それにブルマさんを持ち上げられないと意味がありませんし」
「うっ...」
ウーロンが言葉に詰まると、後ろからエンジン音とともに声が聞こえてきた。
「お い。お い」
「へ!?」
後ろを振り向いたウーロンはぎょっとして目を剥いた。
「お、おいっ!!また来たぜっ!!」
「!?」
「...殺気はないようですが」
ジープはたちと少し距離を置いた場所で止まった。
「やあ、君たちさっきはごめんねーっ!!」
そう言うヤムチャの笑顔は非常に嘘くさい。
「いろいろとよ く考えてみたらさ 、僕たちすっごくいけないことしてたんだよね !!だからさ お詫びにこのカプセルあげる!!」
ヤムチャが乗るジープとたちの間にカプセルを放り投げると、それは車に変わった。
「く、車だ!!」
「じゃあ、気をつけてね っ!さようなら っ!!」
そう言って去っていたヤムチャたちをウーロンはぽかんと口を開けて見送った。
「ど、どういうことだ...?」
「...(私たちに7つ集めさせておいて横取りする気でしょうね...しかし...あそこまで演技が下手なのもどうかと...)」
「あいつ根は良い奴なんだな」
「...(あの演技でさえ騙されるんですよね...もうちょっと警戒心というものを教えておくべきでしたかねぇ)」
「爆弾とかがついてるんじゃないだろうな...」
「その心配はないと思いますよ。火薬の臭いがしませんから(発信器はついているようですが)」
はそう言いながらブルマを後部座席に乗せ、カプセルをバイクに変えた。
「その車に4人は狭いでしょうから、私はバイクに乗りますね」
「オラもそっちがいい」
「はい、どうぞ」
悟空を抱えてバイクの後ろに乗せると、もバイクにまたがる。
「それじゃあ、出発しましょう」
「おう!」
「...なんか話がうますぎる気がせんか?」
「ダメだよ人を信じなきゃ!」
「そうですね(警戒心の強い悟空というのも想像つきませんし、やっぱり素直に元気に育ってくれるのが1番ですよね)」
さっき思ったことをあっさりとひるがえして、はにっこりと笑った。
の子育てが、意外と行き当たりばったりであるということを知る者はいない。
「さあ、フライパン山にレッツゴー!!」
「はい、はい」
「うわっ!おいてくなよっ!」
あとがき
ドラゴンボール第十二話終了です。
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