迷子の旅  in  NARUTO(34)





「ただいま帰りました〜」

「「「おかえりっ!!」」」

帰ってきて早々子供たちに飛び付かれたは、危う気なく3人を抱きとめにっこりと笑みを向ける。

子供達も10日ぶりに見るの笑みに嬉しそうに笑ってさらに抱きつく。

「お帰りなさいませさ、ま......ッ!?」

「ただいま帰りました...って、ヒザシ?どうしました?」

ぽかんと口を開けの方を見て固まるヒザシを、も子供たちも不思議そうに見つめる。

様...その、様の後ろに、いるのは...」

「ああ、ヒザシは彼に会ったことがあるんですね」

「え、ええ...顔を変えていただいく以前に...」

「「「う〜ん...どこかで見たような...見なかったような?」」」

子供たちに抱きつかれているを羨ましそうに後ろから見ていたナルトと同じ髪と目を持つ男性が、子供たちのセリフにショックを受けいじけだす。

『うぅ...どうせ俺なんて...俺なんて...』

「紹介が遅れましたね。この方は4代目火影でナル君のお父さんの波風ミナトさん...の残留思念です。周りにばれないように普段はミーさんと呼んであげて下さい」

「「「「残留思念(ですか)?」」」」

「ええ。ちょっとチャクラが足りなくて私にしか見えなかったのでチャクラを補って見えるようにました。そしてミーさんがなぜ家に来たかと言うと、里人たちの日ごろの行いにぶちキレまくってたのでここまで連れてきました」

「「「「ぶちキレてたんだ(んですか)...」」」」

そろって生暖かい目を向けてくる4人に、4代目火影波風ミナトことミーさんがおずおずと前に出た。

『え〜と、ヒザシ以外ははじめまして、になるのかな?残留思念って言っても死ぬ寸前までの記憶も持ってるから本人と変わりないんだけど...その、俺が死ね1年くらい前からもしものためにと思って作ってた術を死に際に残りのチャクラを寄せ集めて使ったんだ』

「...?」

『で、その......』

ふと自分を見て泣きそうになるミーに、ナルトは(いぶか)しげな視線を向ける。

『ナルトに、九尾を封印、したのは、俺、なんだ』

「ああ、4代目火影だもんな」

ナルトの言葉にミーはどんなに罵倒されようと受け止めるつもりで唇を噛み締めた。

「ミーさん、ナル君はあなたを非難してるわけじゃありません。ですからそんな顔しないでください」

「まあ4代目...じゃなかった。ミーさんが封印してなかったら俺ら生きてなかっただろうし」

「うん。ナルト君も含めてね」

「そうそう。一応あんた...つうのも可笑しいから親父で良いか?」

『っ!もちろんっ!!』

悲愴さをにじませ泣きそうだったミーの顔が今度は思わぬ喜びで泣きそうになる。

「確か周りから人を逃がした後、泣きながら俺に九尾を封印したんだろ?」

『!?』

「んで、終わった後ナルトを抱きしめて血を吐きながら何度も謝ったとも聞いたな」

『ええっ!?』

「死神に渡す魂の量がミーさんだけじゃ足りなくて、笑顔で一緒に逝くって言った奥さんの魂を自分の中に入れたっていうのも聞いたけど」

『どうして知ってるの!?』

「「「九尾(依り代(よりしろ)はぬいぐるみ)とか、おしゃべり好きな精霊(これも依り代はぬいぐるみ)に聞いたから」」」

『........................』

「すぐに受け入れられないでしょうが...事実です」

顔の色を青と赤に器用に点滅させながら叫ぶミーに、子供たちが衝撃の告白をあっさりと決行した。

それを聞いたミーはぽかんと口を開けたまま固まったが、ヒザシの言葉がさらに追い打ちをかける。

「ナル君は九尾さんと和解済みですよ...って言ってませんでした?」

『......うん』

「「「元気出せって(出して)」」」

『...ありがとぉ』

かなり諦めの入った表情で頷くミーを子供たちが軽く肩を叩きながら励ますと、ミーは今までと違う意味でうっかり泣きそうになった。

「さて、自己紹介もひと段落したことですし、中に入ってお茶でも飲みながらナル君の待遇完全計画を練りましょうか」

「「「待遇改善計画?」」」

「...もしかして店でやっているようなことですか?」

『ああ、のお店の人たちってがいろいろ情報をリークしてるおかげでナル君への人当たり良いんだよね』

「もともとナル君を虐げてることに嫌悪感を持っている人たちを選んだんですけどね」

「「「えっ!?そうなの(か)!?」」」

「ええ、九尾関係の話が禁止にされてるせいで非難も出来なかったみたいなんですよ。まあ、禁止してなきゃ今頃子供たちの方にまで話が広がっていたんでしょうけど」

溜息とともにが吐いた言葉に、子供たちが目を丸くして驚く。

「さあいつまでも玄関にいないで中に行きましょう。ヒザシ、お茶の用意をお願いします。お茶受けはお土産がありますから」

「はい。すぐに準備します」

「ミーさん、ナル君を虐げた里人にきっちり報復する方法を練りますよ」

『...うん、そうだね。ふふふふふ...骨の髄なんて生温い!魂の髄まで思い知らせてやる!!』

「ナル君、シー君、ヒナちゃん。私は表のナル君の親権とか住所もこっちに移したいんですけど協力してもらえます?」

「マジで!?やるやる!絶対やる!!」

「もちろん!俺今回だけはめんどくせーって言わねェ!」

「うん!何でも言って!!協力するよ!」

「ありがとうございます。さあ、中で作戦会議と行きましょう」

『「「「おーっ!」」」』

妙に高いテンションで拳を上げ雪崩れ込んだ居間で、ヒザシも珍しくヤル気を表に出していた。











ありがとうございました!

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