迷子の旅 in  ハリーポッター(1)





シュン!  トン


が『強制転送《ムーヴ ムーヴ》』で移動した先には、長いひげに半月メガネの老人が驚いた顔でを見つめていた。


老人はゆったりとした長いローブに地面に引きずりそうなほど長いマント、かかとの高いブーツとまるで物語の魔法使いのようであった。


その老人の格好を見たは、また他の世界に来てしまったことをほぼ確信して内心ため息をついた。


その老人を観察していたは驚かせてしまったことを思い出して、驚かせてしまってすいませんと謝った。


心底申し訳なさそうに謝るを見て、その老人も警戒心を解き、笑みを浮かべて大丈夫だと言った。


老人の言葉にほっと安堵のため息をつくと、現在地を知るためには老人に話しかけた。


「申し訳ありませんが、ここがどこか教えていただけますか?目的地と違うところに来てしまったみたいで...」


「ここはホグワーツ魔法学校じゃよ。ところで名前を聞かせてもらえんか?」


「あ、失礼しました。私はといいます。あなたのお名前をお伺いしてもよろしいですか?」


「わしはアルバス・ダンブルドア、ここの校長をしておる。いくつか聞きたいことがあるのだがかまわんかね?」


「はい、私に答えられることでしたら」


「そう堅苦しくすることは無い。そこに座っていなさい、今お茶を入れよう」


「ありがとうございます」


がソファーに座ると、ダンブルドアは木の棒のようなものを一振りした。


すると、の前にあったテーブルには入れたてに紅茶と数種類のお菓子が並べられていた。


がそれを興味深げに眺めるのを見て、ダンブルドアは不思議そうにを見た。


「君はマグルだったのかね?」


「?、マグルとは何でしょうか?」


「魔法族でない者のことをそう呼んでおるんじゃよ」


「魔法族というのは魔法が使える方達のことですか?」


「魔法が使える者ばかりではない。たまに魔法がまったく使えない子も生まれてくる。魔法を使う環境が身近にある者たちと考えた方が良いじゃろう」


はその言葉になるほどと頷くと、どこまでダンブルドアに話して良いものか考え出した。


(魔法を使えるか使えないかなら使えると言えますけど、この世界の魔法が使えるというわけではありませんし...やはり、異世界から来たことを説明するしか無いですよね...信じてくれるかどうかはともかく)


は話す内容を決めると1度大きくため息をつくと、まっすぐにダンブルドアの目を見つめ返した。


「これから私が話すことは事実ですが、それを信じるかどうかはあなたにお任せします。かまいませんか?」


「かまわんよ。見ての通りそれなりに年を取っておるからのぅ、多少のことにはビクともせんよ」


そう言って片目をつぶったダンブルドアに、は知り合いの茶目っ気のある老人達を思い出し笑みをこぼした。










ありがとうございました!
  

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