「......悪戯、なんだよな?」(ジェイク以下ジェ)
「悪戯以外あり得ないじゃない!」(ウィニア以下ウィ)
「まぁ、今までみたいに隠す気はないみたいだけど」(ヨハン、以下ヨ)
「でも、これはこれで悪質よね」(マリア以下マ)
「用意周到とは言えませんけどね。本人達がいませんから」
「何で?本人がいないとだめなの?」(ウィ)
不思議そうに首を傾げるウィニアにはにっこりと笑って言った。
「私の朝食とあの4人の朝食を取り換えるのを阻止できないじゃないですか」
その人がまばらな大広間に異様に響いた声に、好奇な視線を向けていた生徒も、我関せずと朝食を口に運んでいた生徒も凍りついたように固まった。
もちろん4人も例外ではなく、真っ先に我に返ったジェイクは壊れたブリキのような動きでに視線を向ける。
「マ...マジで?」(ジェ)
「マジです」
きっぱりと笑顔言い切ったから、再びブリキのような動きでテーブルに置かれた朝食モドキに目を向ける。
その1、カップの中でぐつぐつと煮立ち、紫の煙を上げる色だけは紅茶...のような気がするもの。
その2、ありとあらゆる色が混ざったようなマーブル模様のパン...らしき物体。
その3、明らかに食用じゃなさそうな薬草らしきものが入ったサラダ...と言うのが冒涜にしか思えないような草の山。
その4、白身が緑で、黄身が真っ赤な、明らかに卵じゃないとしか思えないが、普通のハムがあるので、頑張ればハムエッグだと推測できないこともないもの。
その5、何やら見てはいけないような物体が中で泳いでいるドドメ色のスープ...と正直思いたくないもの。
料理名だけは典型的なブレックファストだが、明らかに食べ物ではない物体郡を見て怖気で鳥肌が総立ちした。
横から聞こえたパチンと指を鳴らした音を疑問に思い振り返る前に、まっとうな朝食に変わったテーブルの様子で何が起こったか気付いた面々は、グリフィンドールの席から聞こえた悲鳴にやっぱりと遠い眼をした。
「「「「...............」」」」
「心配しなくても、キチンとジェームズたちの名札を付けておきましたから、他の人が食べるようなことはありませんよ」
「いやいやいや、そうじゃなくてだな」(ジェ)
「ふふっ、大丈夫ですよ。屋敷しもべ妖精さんの邪魔をして、あの4人が自分たちで用意したんですから、処理もきちんと4人で出来ますよ」
「、もしかして...」(ヨ)
「お、怒ってたり、する?」(ウィ)
恐る恐る聞いたウィニアに、はより笑みを深くする。
それを間近で見たウィニアは、笑顔の方が怖いってこともあるんだなぁと新たな事実を知りひとつ賢くなった。
「今日の2時くらいでしょうか...仕事場を荒らされた屋敷しもべ妖精さん達が泣きながら、謝りに来たんですよ」
「...2時?」(ジェ)
「もしかして、防音呪文掛けてた?」(マ)
「ええ、あなたたちを起こすわけにはいきませんでしたから」
「...つまり寝不足で不機嫌ってこと?」(ウィ)
「いいえ。別に1日1時間睡眠でも普通に行動できますし」
「...すごいね」(ヨ)
感心したらいいのか呆れたらいいのか普通は迷うところだが、ヨハンは素直に感心した。
「じゃあ、何に怒ってんだ?」(ジェ)
「私には馴染みが薄いんですけれど、今日はハロウィンですよね?」
「あ、ああ...そうだな」(ジェ)
急な話題の転換にジェイク戸惑いながらも頷いた。
「毎年ハロウィンではごちそうが出たり、飾り付けがされたりしているんでしょう?」
「うん。毎年ちょっとずつ飾り付けが違ったりしてるんだよ」(ウィ)
「その飾り付けやらごちそうの準備をですね、屋敷しもべ妖精さん達は真夜中からしてるわけです」
「「うん」」(双子)
「特に料理は下準備にも時間がかかる上に、量も多いんですよね」
「でも、屋敷しもべ妖精ってそういうの好きなんじゃねぇの?」(ジェ)
「ええ、そうですね。お仕事が好きなんです」
ジェイクの言葉に頷きながら話すの目がすっと細くなった。
「お仕事や頼まれごとが好きですから、ジェームズたちに場所を貸してと言われた時も快く頷いたそうなんです」
「...うん。何となく予想がついた」(ジェ)
「え?もう?」(ウィ)
「普通に食べられる物作ってる横であんなの作られたら、そりゃあ泣く...つうか、屋敷しもべ妖精なら首くくりそうだよなぁ」(ジェ)
「「「ああ...」」」(双子&ウィ)
思わずグリフィンドールの一角から上がっている紫の煙に目を向けて、大きく頷いた。
「首をくくる前に止めましたのでその予想も当たっていますが、ちょっと足りないですよ」
「足りない?っていうかホントにくくりそうだったんだ」(ヨ)
「まあ、そのことは置いとくとして...どういうこと?」(マ)
「あの4人の悪戯はホグワーツの娯楽として、ある程度は取り締まりが緩かったでしょう?屋敷しもべ妖精たちも、厨房の片隅を貸すのは初めてではなかったそうですし」
「そうなの?」(ウィ)
「ならなんで今日だけ泣きついて来たんだ?しかもに」(ジェ)
はジェイクのもっともな疑問が大広間全体に浸透するのを待っていたかのようなタイミングで口を開いた。
「86人分」
「は?」(ジェ)
「4人があれを作るために無駄にした食材の量です」
大広間にいた全員の動きが止まった。
「起こされた時は気づきませんでしたけれど、恐らくハロウィンのために準備された食材も犠牲になったんでしょうね」
「え...?じゃあ、今日ごちそう、なし?」(ウィ)
しばらくしてウィニアの言葉を理解した生徒たちのほとんどの口から悲鳴が漏れる。
「食材に関してはすぐに校長先生に連絡してありますから、今日の昼までに届けば何とか間に合うと思いますよ」
「ホントに?」(ウィ)
「ええ」
頷いたに生徒たちはホッと胸をなでおろした。
「ただ...」
「「ただ?」」(双子)
「ジェームズたちの無駄にした食材が、周りの食材も汚染していったんです」
「「「「......えっ!?」」」」
誰もが自分たちの目にある、もしくは手をつけている食事を見て青くなった。
「ああ、ここに出ている分は汚染を免れた安全なものですよ」
「よ、よかった〜」(ウィ)
「あれを見た後だから余計に心配になっちゃったよ」(ヨ)
「うん、ホントよね。冷や汗かいたわよ」(マ)
「まったくだ......ん?」(ジェ)
「「どうかした(の)ジェイク?」」(双子)
「いや...が怒ったのって、もしかして俺らに危険が及んだから?」(ジェ)
「「「そうなの!?」」」(双子&ウィ)
身を乗り出して聞いて来たマリアたちには笑みを向けただけだったが、それが何よりの肯定になった。
「...なんてステキなの♥」(マ)
「うん...惚れ直すってこういうことを言うんだね♥」(ヨ)
「かっこい〜!」(ウィ)
「ふふっ、ありがとうございます」
うっとりとした顔で言う双子と目を輝かせるウィニアに苦笑しながらも、ジェイクはに尊敬の目を向けた。
「それで、捨てるんじゃなくて交換したのはお仕置きも兼ねてるのか」(ジェ)
「もちろんです。あの席にはジェームズたちしか座れないようにする呪文と、席に着いたら勝手に手が食事を口に運ぶ呪文が掛かっていますから、他に被害者は出ませんよ」
さらりと鬼畜な発言をするの後ろで、その4人の悲鳴が聞こえてきたがことの成行きを知る者たちは自業自得と誰も助けなかった。
あとがき
SAIさま、88888hitありがとうございました!
『ハリポタ(親世代)』で主人公がジェームズたちとの戦い(その2朝食の攻防編)でした。
悪戯と言えばやっぱりハロウィンかなと思い、季節外れですがこんな話にしました。
気に入っていただけましたか?
「これで終わりですか?」と言う夢主はおそらく夜の攻防編になるかと思います。
朝食
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