「小さな蜜蜂、強制転送、贋物の本物、保存情報いずれも使用不可ですか...」
4m四方の箱に背を預けながら、は形作られることなく霧散していくオーラに深々とため息をついた。
「加えてハッキングと環境適応も残ってるのはプログラムの形跡だけ...自己修復も半分以下、リミットブロックも元の20%弱、無限の武器庫の武器もこの体で扱えるサイズだけ...」
5歳児の体で扱えない武器、自分の体より大きな剣や槍、大経口の銃などはの腕力や技術を持ってすれば何とでもなるのだが、出せないことにはしょうがない。
今のが出せる武器と言えば、限界まで長くしても脇差しより短い。
そうなるとどうしても間合いが小さくなってしまうので、小経口の銃を持ちたいところなのだが...銃を扱える5歳児などいい注目の的になるだろう。
「本当にほとんど持って行きましたねぇ。まあ、リミットブロックが100を切っていなかったのと、勇者の館が残っていたのは幸いと言えば、幸いなんですが...なんですが...」
はちょっと泣きそうな顔で背を預けている壁を見上げる。
壁の向こう側では義弟達がそれぞれ修行に励んでいるはずだ。
当然だが、体をあまり動かせないエドワードは手探り状態のアルフォンスよりも念の習得が早い。
代わりに、実戦を想定した訓練(これは戦闘訓練と言うよりも周囲から特定の音を拾い、避けたり隠れたりする訓練)はアルフォンスの方がリードしている。
そして、本来なら一緒に中に入って指導するはずのがなぜ外にいるかと言うと...
「うぅ...ェ、エド君、当たって...ァ、アル君にまで...っ」
自動操作なので、直接ではないとはいえ、義弟達に攻撃しているストレスに耐えきれなかったためだったりする。
攻撃とは言ってもケガをするようなものではなく、体に当たる直前に音が鳴り響くだけなのだが...耳を澄ませて辺りをうかがっている時に耳元で音が鳴り響くのは少々つらいだろうが、つらくない訓練など身にならないのだからしょうがないだろう。
「ああぁっ!ま、また...あぅう...」
胃が痛いとと言うのはこういうことだろうかと、ないはずの器官に手を当てながら涙を流す。
「...S級賞金首1000人捕まえる方がずっと楽なのにぃ」
それはどうだろうと思うようなことを...
「そんなことはありません!このストレスに比べたら、S級1000人の首を落とすほうがずっと楽です!!」
さっきは首を落とすじゃなくて捕まえると言ったいたんじゃ........................ってなんで地の文が分かるんですか!?
「捕まえるのも首を落とすのも大して変りませんよ」
いやいや、全然違うでしょう?
「同じですよ。このストレスに比べたら...私人間だったら胃どころか心臓も潰瘍で無くなってたんじゃないかと思うんですよ」
あなたどんだけストレス感じてんの!?
って言うか地の文との会話やめて!作風変わっちゃうから!!
「電波のくせに私の行動を規制するんですか?電波なら電波らしく私の愚痴を聞きなさい」
電波扱い!?愚痴を聞くのって電波の仕事なの!?
しかも命令形!?
お母さんはそんな子に育てて覚えないよ!
「私の母はアサヒさんとトリシャさんだけです...って私誰と話してたのかしら?」
そこで正気に戻るの!?
第7話 修行≒試練?
修業期間中にがストレスで電波(?)を拾うこと数回、その電波がダメージをくらうこと数回、ようやくエドワードのリハビリも終わりをつげた。
そしてエドワードがイーストシティの司令部へと旅経って数日が経った。
「兄さん、そろそろ試験を受けてる頃かなぁ?」
「試験場所は中央のはずですから、手続き等の時間を考えるともう数日かかるかもしれませんね」
「う〜ん、やっぱりそういうのって時間がかかるものなの?」
「軍事関係や政治関係は特にそうですね。地位が上がるほど、どうしても形式と言うのを気にしますし...と、出来ましたよ」
アルフォンスの鎧の中から出てきたは、塗料で汚れた手をタオルで拭いた。
「どれどれ...おお!よく見ないと分からなくなってるね」
鏡で映し出されたアルフォンスの首の内側、血印のある部分が二回りほど大きな金属板で囲まれ、血印が見えなくなっている。
「これで内側、外側ともに簡易防御は終了です。水の中に入ることがあっても大丈夫ですね」
「ありがとう、!」
「ふふ、どういたしまして」
にっこりと笑うの横で、アルフォンスは自分の体をまじまじと見る。
「でも念って便利だね。いくら上から塗装して見えないようにしてるって言っても、サビどころか疲労破壊まで防ぐなんて。同じことを錬金術でやろうとするとかなり大変だよ」
疲労破壊とは、固体金属材料が力を繰り返し長期間にわたって受けていくうちに、その固体に亀裂が生じたり強度が落ちたりする現象のことで、日本では金属疲労と言う。
また金属だけでなく、プラスチックや炭素繊維、セラミックス、ガラスなどすべての固体に見られる現象でもある。
「念での物質強化はそれほど難しくないんですよ。エド君も短時間とはいえ周ができますし、神字で補助もしてますしね」
「僕もできるようになるかな?」
「ええ、今は凝まで出来ていますから、すぐに出来るようになりますよ」
「うん!がんばるよ」
嬉しそうに頷くアルフォンスに、も笑顔を向ける。
しばらくたわいない話を続けていたが、話している間も動いていたの手がぴたりと止まった。
アルフォンスはその様子を訝しげに見る。
「どうしたの?」
「いえ、エド君のことなんですが...」
「兄さんがどうかしたの?」
「念を使ったり話したりするのは禁止したので大丈夫だとは思うんですけど...」
「うん?」
「今までやっていた訓練で目や耳が実戦に慣れてたでしょう?エド君、軍人さん達に『そんなに足音を立てていいのか』とか『以外と動きが遅いんだな』とか、口にしてないでしょうか?」
「いくら兄さんでも......うん、大丈夫だよ。多分」
「そうですよね。何も自分から目をつけられるようなことしませんよね」
エドワードの声真似のせいで実際に言っている場面を想像したのか、アルフォンスの語尾はやや頼りなくなった。
も唯でさえ年齢で注目されているだろうから、さらに目をつけられることもしないだろうと割と気楽に考えた。
それが間違いだと知るのは、試験が終わりエドワードが帰って来てからのこととなる。
あとがき
鋼の錬金術師第七話終了です。
6話
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8話
少々見苦しいですが、おまけ(管理人ととの会話)です↓
ご無沙汰しています。に、電波扱いされた管理人です(泣)
「ですから、私の母はアサヒさんとトリシャさんだけなんですって」(きっぱり)
そ、そんなに否定しなくても...しくしくしく...
「うっとおしいので泣かないでください。電波から紫外線に格下げしますよ」
格下げ!?しかもお肌の天敵扱い!?
「放射線の方がいいですか?」
さらに格下げ!?私ってそんなに有害ですか!?
「え?自覚なかったんですか?」
ひ、ひどいいいいぃぃぃ......っ(脱兎)
「はて?何で逃げて行ったんでしょうか?」(自覚なし)