組み分けも終わり、新しく選択科目となった『基礎錬金術』の教師として紹介された・は、『魔法薬学』のセブルス・スネイプ教授の隣に座っていた。
普段から不機嫌な顔をしているためスリザリン生以外の生徒から敬遠されているセブルスと、いかにもおっとりとした雰囲気のが普通に会話を交わしているのが不思議らしく、生徒達が時折2人の様子をうかがっていた。
「ところで...セブルス、眉間のシワが固定してませんか?」
「...何?」
思いのほか響き渡った声に、食事をしていた2年生以上の生徒達の体がピシッと音を起てて固まり、それを新入生達が不思議そうに見ている。
「ですから、眉間のシワ固定してませんかって...そんなに難しい顔してると、生徒に誤解されちゃいますよ?」
「誤解されるようなことなど、何も無い」
「そうですか?でも学生時代から面倒見が良くて、良く下級生達に頼られてたでしょう?」
(((((((((((ウソだっ!!!!!!)))))))))))
がごく当たり前のように言った言葉に、スリザリン生までもが心の中で勢い良く否定する。
「......下級生と言っても、スリザリン生だったろうが」
(((((((((((ああ、それなら納得...))))))))))
「でも、あなたが優しいことには変わりないと思うんですけど...」
(((((((((((ヤサシイィイィィィィイィ!!!!!???)))))))))))
「...勘違いも甚だしいな...」
(((((((((((なるほど...勘違いか...)))))))))))
「んー...でも、私がいたときのレイブンクロー生は、ちゃんとあなたが優しいことを知ってたと思うんですけど?」
(((((((((((レイブンクロー!!!あの先生、スリザリン生じゃなかったのかっ!!!?))))))))))
「ふん、そんなものお前の身内の欲目だろう」
「あ、それは否定できませんけど、マリアやヨハンに聞いてもあなたは優しい人だって言う答えが返って来ると思いますよ?」
「あいつらはそう言ってからかうのが目的だろうが」
「えー、そういうことを少しでも思ってないと、実際には言えないと思いますよ?」
「実際に思っていなくても言葉では何とでも言える......何を見ている!!」
いつの間にか生徒全員が食事の手を止め(心の中でツッコムのも忘れて)、2人の話を聞いていたことに気付いたセブルスが目を吊り上げて怒鳴りつけると、生徒達がビクリと反応しあわててテーブルに顔を戻すが、耳をそばだてて2人の会話を聞こうと大広間の中はシンと静まり返っている。
生徒達の耳がこちらの話しを聞こうと集中しているのに気付いたセブルスが苦々しい顔をしている横で、がきょとんとした顔で首を傾げていると、を挟んでセブルスの反対側に座っていたダンブルドアが笑い声を上げる。
「?、校長先生、どうかなさいましたか?」
「ほっほっほ、いや何、とセブルスの様子が相変わらずだったので懐かしくなってのう」
ダンブルドアの言葉に、耳をそばだてていた生徒達がいっせいにダンブルドアを見るが、セブルスの鋭い視線を受け即座に顔をテーブルに戻す。
「そりゃあ、何年経っても友人は友人ですし」
「そうじゃのう。ああ、そう言えば、2人とも優秀で、良く図書館にこもり様々な分野でお互いに討論を繰り広げておったこともあったのう」
「そんなこともありましたねぇ。それで熱くなって周りの方々から睨まれたことも...」
「他にも、実験室を借りて新薬の実験をしたり、森の...」
「2人とも、そういう話はこのような場ではなく個人的な場でしていただきたいものですなぁ...」
「ほっほっほ、それはすまなかったのう。久しぶりで懐かしかったものでのう」
「......分かって頂ければ...(このタヌキジジイめ!!)」
「?、特に重要内容を話してたわけではありませんし...世間話のようなものでしょう?」
セブルスのイラついた雰囲気とダンブルドアの飄々とした雰囲気に挟まれながら、おっとりとした雰囲気でセブルスに話しかけるに、生徒達が『興味』と『驚愕』と『未知のものを見るような不思議な感覚』が混ざった微妙な面持ちでを見た。
そんな大量の視線を向けられているにもかかわらず、全く雰囲気の変わらないにセブルスが諦めの混ざったため息をつく。
「......お前はそういうやつだったな...」
「はい?」
「いや、何でもない」
「そうですか?」
首を傾げているの横で、がっくりと肩を落とし額に手を当てているセブルスに驚きつつ、生徒の視線はから離れない。
「ふむ、ところで授業のこと何じゃがのう」
「あ、はい、何ですか?」
「事前に注文していた器具が届くまで、もう2週間ほどかかるようなんじゃが」
「そうですね。滅多に注文があるようなものでも無いでしょうし、少し特殊ですからね。器具の説明をある程度したかったんですけど...では、最初の方は器具を使わなくてもいい内容を考えておきます」
「そうか」
それからはほぼ当たり障りの無い話であったために、次第に生徒の興味が離れ、テーブルに並んだデザートに集中し、その日は何事もなく終了した。
翌日、を見かけたピーブズが大慌てて逃げ出したのを大勢の生徒が目撃し、生徒のへの疑問はよりいっそう深まることとなる。
091 もしも...
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