プロローグ
暗い部屋の中で大型の機械やパソコンが動いている音だけが響いている。
部屋を照らすのは、パソコン画面からのわずかな光だけ...
部屋の中心には、ガラスケースに入った人間の形をした『何か』がおいてある。
その『何か』は、人間というには無機質過ぎていて、人形というには有機的過ぎた。
例えるならば『それ』は、命をもった人形のようであった。
『それ』は目を閉じ、わずかに下を向きたたずんでいた。
部屋に訪れる者も、動く者も無く変わることなく機械の稼動音が響いていた。
暗く変わりないはずの部屋の中で、ほんのわずかな変化がおきた。
『何か』の姿が徐々に歪んでいく。まるで部屋の空気に溶け込んでいくように...
少しずつ...少しずつ...消えていく...
数分後、部屋の中から『何か』の姿はなくなっていた。
部屋の中には、機械とパソコンとガラスケースのみが残された。
その『何か』の状態を表していたであろうパソコンの画面にはこう記されている。
《 REAL DOLL TRIAL TYPE-S No.11 》
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10/16 擬似的ながら感情を確認。任務の際、行動阻害が起こる可能性を考慮し、電脳のアレンジの要請を行う。
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10/20 電脳のアレンジを実施。
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10/21 電脳が情報の上書きを拒否。擬似感情の消去に失敗。失敗の原因を調査するため、電脳の解析及び、No.11の一部を解体。
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10/28 失敗の原因を発見出来ず。No.1〜No.10で同様の作業を行うも、電脳に擬似感情が見られないことから突然変異的なものであると解釈する。
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10/30 他の試験体への影響を考慮し、11/1に 廃棄処分 を行うことが決定された。
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