テレビを見ながらお茶を飲んでいたとき、はあるCMを見て...
「っ!!げほっ!ごほっ!?...っ!!」
急にむせた。
「兄さん!?」
「さん!」
「兄貴!!」
「兄さん!?」
上から順に始、続、終、余の呼びかけである。
口元に手を当てて息を整えているに、四兄弟が驚いたように眼を向ける。
息が整ってくると、テーブルにおいてあった布巾でこぼれたお茶をふき取った。
落ち着いたを見て余が心配そうに顔を覗き込んだ。
「大丈夫ですか?」
「どうしたの?」
「.....................何でもありませんよ」
長い沈黙の末に、眼をそらしながら言われては信憑性がない。
「兄貴、ほんっと嘘つくのが下手だよな」
「終君、さんは嘘をつくのが下手なのではなく、家族に嘘をつくのが苦手なんですよ」
「どこが違うの?」
「家族以外にはかなり上手に嘘がつけます」
「それで、兄さんは何を見て咽たんだ?」
「えーと...それは.........黙秘権の行使は」
「「「「だめ(です)」」」」
「そうですよね」
の眼が諦めたように遠くを見る。
「それで、理由は何だったんですか?」
「......知り合いによく似た子がテレビに映っていたので」
「兄さんが咽たときのCMって、アニメのコマーシャルじゃなかったかしら?」
「でもでてたのって主人公だけだったぜ。あんなとんがった髪型の子供なんてこの辺にいたか?」
「兄さん、以前他の世界「あー!来週が期限のデザインがあったんでした!ちょっと仕事部屋にこもってきます!」
言うやいなや、すぐさま仕事部屋へと逃げていった。
「兄さん、さっきなんと言おうとしたんですか?」
「以前に他の世界をいろいろと回ったことがあると言っていたと聞いたんだが」
「他の世界って、要するに異世界ってことだよな?」
「じゃあ、あのアニメの世界にも言ったことがあるってこと?」
「おそらく、そうじゃないですか」
「でも、何で理由を言わなかったんだ?始兄貴から聞けば分かることなのに」
「兄さんなりの考えがあるんだろう」
四兄弟がそんな話をしていた頃、は仕事部屋の机に突っ伏していた。
「......息子の成長をアニメで見守ることになったなんて...言えるわけないじゃないですか」
CMで流れていたアニメのタイトルは『ドラゴンボール』という。
あとがき
若い叔父なので呼び方は『兄』にしました。
でも、続君なら『兄』=『始君』だけだろうなと思い、『さん』付けにしました。
終君と余君は長兄をまねて『兄』呼びです。
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